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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第一節その2 [球体関節人形製作]

 
 そして、今日はここ『はればれ高原』の野原を散策している訳なんだ。
 いかにも雨が降りそうなどんよりとした曇り空なので、この高原を訪れている人もまばらで、気分的にものんびりしているんだ。
 そう、僕はどうも人混みや雑踏が苦手で、観光地でも有名なところだと景色はいいのだけれど、何しろ人が多くて気疲れしてしまうんだ。

 え?今日も一人で散策かって?
 ああ、一人で散策することがほとんどだね。
 以前、彼女と二人で散策したことがあったけれど、僕があんまりカメラであちこちと小さい被写体ばかり撮るものだから飽きられてしまってね。それ以来一緒には行っていないんだ。
 彼女の仕事は別の会社のプログラマーなんだけれど、最近は仕事が結構忙しいらしく、あまり頻繁に会うことができないんだ。
 時々会うのは、もっぱら週末の金曜か土曜の夜に、お互いの仕事がちょうど終わった後で、職場近くの居酒屋で落ち合って、ちょっと食事して、飲んで、話して、それから僕か彼女の家に行って一晩過ごして、翌朝は「またね」と別れて、その休みの日は彼女が休日出勤だったりという具合さ。
 でも、最近はそれも月に一度か二度か、そんなに多くない。

 そんな訳で、今日も僕はひとり高原を散策している。

 で、ちょっと、ここからおかしな話になってしまうのだけれど、野原の小さな花の写真を絞り優先モードで撮っていたんだけど、不思議なものが写っていることに気が付いたんだ。

 それは薄紫のちょっと野草としては珍しい形の花で、撮っていたときには気が付かなかったんだけど、雨がポツポツと降ってきたので、屋外の休憩所に逃げ込んで、今さっき撮影した写真を眺めながら、どの写真をインスタに投稿しようかなと考えていたときだったんだ。

「あれ?なんだこれ?」
 僕は1枚の写真を見てびっくりした。

 何と撮影した薄紫の花のすぐ下の葉の上に、薄緑色のワンピースを着たとっても小さな女の子がいたんだ!

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