青い炎と人形の物語 第9章 魔法の女王 その5 [球体関節人形製作]
砲弾のように飛ぶマリーの精神体は、夜の帳《とばり》が下りた空を、西へ、西へと向かっていた。
透明だがわずかに青く光輝くその姿は、魔法の心得がある者が見たならば、あたかも大天使のように見えたことだろう。
(なんとかしなければ...明日11日の夕刻までに!)
マリーはシュべルトの町の古いホテルでレオンが言った言葉を思い出していた___
『マリー。君は戦いを避けたいようだけど、君が見てきたように、もう敵は戦いを避けてはくれない...もし、君が良い方策を思いつかなければ、僕らは明日11日の夕刻には敵の中隊に向かって魔法の幻影を見せて対抗しなければならない...待てるのはそこまでだ。それを過ぎたらもう僕らの邪魔はしないで欲しい...わかるよね?僕らは戦いを選択したんだ。僕も君のパパ達を傷つけたくはないんだ...』
(わかっている...でも、どうしたらいいんだろう?)
やがて、ヴィルレーデ村のわずかな明かりが見え始めると、マリーの精神体は空の高みから一気に地上へと降下していった。
******
「マリー!ようやく戻ってきたんだね」
ラウラの顔がぼんやりと左上に見えた。
「心配したのよ!マリー!もう戻って来ないのかと思ったわ!」
右上にはエルケの心配そうな顔があった。
「...ラウラ師匠、エルケ...ごめんなさい。私...遠出しすぎたわ」
自身の肉体に戻り、マリーは途方もない疲労感に捕らわれていた。
「マリー...無理はしない約束だったはずだよ...で、どこまで行ったんだい?」
ラウラはマリーの負担にならないように、あまり問い詰めるような言い方はしなかった。
「...バルリンと...シュべルトの町へ行ってきたの...」
それを聞いたラウラとエルケは思わず顔を見合わせた。
「首都バルリンとシュべルトの町へ...片道でも直線距離で200km以上はあるね...それぞれの町で時間を取ったのだろうから...一体、時速何キロで飛んだのやら...」
ラウラは驚きを隠せなかった。
「ラウラ師匠!どうかお知恵を貸してください!私、どうしたらいいんでしょう?!」
マリーは疲弊している身体に鞭を打って、半身を起こし、ベッドの脇のラウラの両腕をつかんだ。
「落ち着きなさい。マリー」
ラウラはマリーの両手を握り彼女を落ち着かせた。
「話してみなさい。何があったのか」
「ラウラ師匠。エルケ...話す代わりにビジョンを送ります...」
マリーは左手でラウラ、右手でエルケの手を握って目を閉じると、今日の午後に起こったことについて静止画、時々動画、そして時々マリー自身がナレーションの思考などを交えてビジョンを伝えたのであった。
そのビジョン自体もラウラとエルケには驚きであった。
(素晴らしい...こうも経験した景色を記憶に残してはっきりと再生できるとは...マリーは、もはや魔法の女王と言っても過言ではないだろう...)
ラウラは軽い感動すら覚えていた。
しかし、ラウラはマリーがこの経験の中でひどく迷い始めたことも十分に知ることができた。
一連のビジョンの伝達が終わった後にマリーは言った。
「帝国軍の中隊を幻を使って止めたとしても、帝国軍は更に戦力を拡大して侵攻してくると思います...そして、いつかは、その物量に負けてシュべルトの住人はすべて殺されてしまうでしょう...レオンもレオナも基本は人間です...使う魔法の力にも限度があります...」
エルケは途方に暮れた顔でマリーを見つめながら彼女の手を握っていたが、ラウラはマリーの左手から手を放し目を閉じて腕組みをして、しばらく何か考えているようであったが、やがて目を開けマリーを鋭く見て言った。
「まったく人が死なない訳ではないし、リスクもあるが...これから、このデイテュラントの国の中で人族、魔女族、鬼人族、狼人族が共存する道をある程度作ることはできるかもしれん...これから私が言うことをやってみるかね?」
...to be continued.
着物の仮縫いです [球体関節人形製作]
青い炎と人形の物語 第9章 魔法の女王 その4 [球体関節人形製作]
シュべルトの町へのVV親衛隊の襲撃が失敗に終わってから2日目の10日の夕陽が沈むころ、フランツとカーヤは古いホテルの半地下にある別々の部屋に軟禁状態となっていた。
半地下なので、部屋の高いところにある鉄格子のはまった窓からは夕陽の赤暗い光が差し込んでいた。
部屋の中にトイレやバスルームはあるものの、部屋のドアには鍵がかけられ、食事は日に2度、ドアの下の小さな扉から固いライ麦パンとミルクという質素な食事が差し出されるだけであった。
(これから...どうなっていくのだろう?...我々はもはや人質の意味はなさないと思うが...)
___『パパ!』___
窓の方を見ていたフランツは、突然の声にハッとして思わず後ろを振り向いた。
そこには___その空中には、薄青い半透明の一人の少女が浮かんでいた___
「マ、マリー!」
フランツは驚きの声を上げ、彼女のすぐそばに駆け寄った。
『...心配しないで、パパ。私は幽霊じゃないわ。精神体の多くを分離させてここまで来たの』
フランツはマリーの言葉が口から出ているものでなく、頭に直接語り掛けてくる精神感応《テレパシー》の言葉であることを理解した。
「マリー!...君はついに本当の力に目覚めたんだね?」
フランツの眼にはわずかに涙がにじんでいた。
『ええ。パパ...パパとカーヤさん、それに視察団の他の人たちも無事なことが判ったわ...これから、二人の魔法使いと会って話をしようと思うの』
マリーの言葉に、フランツはすぐさま応じた。
「マリー!...それは、気を付けた方がいいと思う...このホテルを襲撃しようとしたVV親衛隊の連中を間接的とは言え全員抹殺したのだから」
『...そうね。そうかもしれない...』
マリーがそこまで答えたときであった___
空中に浮かぶマリーの左右に、同じく空中の浮かぶ半透明な二人の子供が突然出現した。
『君がマリーか!僕たちより二つ年下の10歳と聞いているが...?』
マリーの右側から魔の帝王の少年レオンが精神感応《テレパシー》で話しかけた。
『...その年齢で、この力...あなたの肉体は今どこにあるの?』
マリーの左側から魔の女王のレオナも精神感応《テレパシー》で話しかけてきた。
『...あなたたちが、噂に聞いていた双子の魔法使いね?...私の体は今、ヴィルレーデ村にあるわ...私の名前を知っているのなら、まず、あなた達も名乗るべきね!』
マリーは強気に言った。
『...いいとも、僕は双子の兄でレオン。そして__』
レオンが続けて話す前に素早くレオナが口をはさんだ。
『私は妹のレオナ。 マリー!兄さんの言うことにはちゃんと答えなさいよ!』
マリーはレオナをジロリと睨むと口を開いた。
『そうよ。10歳よ!...あなた達はこれから何をするつもりなの?戦争をするつもりなの?』
『...そうだな。今の状況ではそうなるだろうな』
レオンは少し覚悟している雰囲気で答えた。
『あなた達はVV親衛隊の人たちを殺したそうね...これから戦争を始めたら...死ぬ人は敵の軍隊の人だけでなく、あなた達の仲間の人達もたくさん死ぬことになるわ!』
マリーは最初にレオン、続いてレオナ、そして最後にレオンの方を向いた。
『...だが、もうサイは振られたんだ。元に戻すことはできない』
レオンはつぶやくように言った。
『...私はここに来る前に、帝国陸軍の黒幕の男のところや、陸軍本部に寄り道をしてきたの...大変な事を聞いてきたわ!...12日に陸軍の中隊が国境線側から、13日には同じく中隊が反対方向からやってくる。どちらも目標はこの町よ!』
マリーのその発言にレオンとレオナは顔を見合わせた。
そして、レオンは言った。
『有用な情報をありがとう。マリー...軍隊の鬼人族が抜けて、今、情報網が途絶えてしまったところだから...どうだい?マリー。この状況ではパパやその仲間達を守るためにも、君は僕たちに味方ついたほうがいいんじゃないか?』
レオンのその言葉に、レオナがすぐさま反発した。
『遠隔の諜報なら私も兄さんもコウモリを使ってできるわ!別に味方にしなくても!』
彼らの言葉にマリーは毅然として言い放った。
『...私はこれ以上、誰も死なせたくないだけよ!』
...to be continued.
青い炎と人形の物語 第9章 魔法の女王 その3 [球体関節人形製作]
エレベータに乗ったリーフマン大尉は地下2階へと向かったが、その中には薄青い透明色の精神体のマリーも一緒であった。
ただ、その精神体は通常の人間には見ることはできず、魔法の力を持った者にしか見えなかった。
地下2階で降りたリーフマンは左手に進み、そのあと右手に曲がると、目的の留置場が見え、入り口の鉄格子の前には一人の警備兵が椅子に座っていたが、リーフマンの姿を見ると立ち上がり慌てて敬礼のポーズを取った。
「2号房の脱走兵に尋問する。開けてくれ!」
リーフマンの言葉に、警備兵は急ぎ留置場に通じる鍵を開け、鉄格子の扉を開くとリーフマンを入れて、そのあとは中にいる警備兵にバトンタッチした。
中にいた警備兵は急ぎ2号房の鉄格子の小さな扉を開け、房の中央にある金属の椅子に後ろ手で両手を手錠で固定され、また両足首も足枷で拘束されている女のところに行き、その拘束具合を確認した。
なお、金属の椅子の足だが、4本とも金具とボルトでコンクリートの床にしっかりと固定されていた。
「しばらく外してくれ」
同じく2号房の中に入ったリーフマンの言葉に、警備兵は外に出ると急ぎ留置場の入り口まで戻っていった。
「さて...キルシュ少尉、君たち鬼人族出身の軍人が皆、一昨日8日の土曜日あたりから姿をくらましているようだが、軍の捜索隊はまもなくその者達を全て捕らえるだろう...その中で、君は一番に捕らえられた訳だが...少尉という立場にある君であれば、今回の脱走の背景にある事実を説明してくれるだろうと期待しているが...話してくれるかね?」
リーフマン大尉は最初は優しい口調で話し始めた。
「......」
すでに顔を殴られたのか赤黒い左頬と、血を滲ませた唇の端を噛みしめるようにして女は口を閉ざした。
「おい!...シュべルトの町で起きたことについて、どこまで知っているんだ?キルシュ!」
リーフマンはキルシュの細い顎を黒い皮の手袋をはめた左手でグイと上げさせた。
「!...VV親衛隊が、私たちの故郷を襲撃したことを聞きました!そんな帝国陸軍に私たち鬼人族はいるわけにはいきません!!」
キルシュは強い意志の籠った眼でリーフマンを睨み付けた。
「ほぉ。すでにその情報を知っているのか!、、、その情報はどこから仕入れたものなんだ?、、、キルシュ?」
「...それは、私たち鬼人族の秘密です!言うわけにはいきません!」
キルシュはリーフマンの氷のような冷ややかな眼から視線を外さずに言い放った。
「...なるほど...ここに自白剤というものがある...」
リーフマンはそう言いながら腰のベルトに付いているポーチの中からシガレットケースくらいの大きさの金属の箱を取り出すと蓋を開けて、2本の注射器をキルシュに見せた。
リーフマンは金属の椅子に拘束されているキルシュの後ろに回ると、前腕の内側に注射器の針を刺して自白剤を押し込んだ。
「うううっ!!」
自白剤を打たれた痛みとショックでキルシュは声を上げた。
「...いや、キルシュ、声を上げるのはまだ早いぞ? 俺にもう少し楽しませてくれ」
リーフマンはそう言いながら、今度は金属のケースから細長い針を2本取り出すと、まず1本をキルシュの右手人差し指の爪の間の肉にグイと押し込んだ。
「ぎゃああぁっー!!」
凄まじい痛みにキルシュは悲鳴を上げ、身体を拘束された椅子の上で捩《よ》じらせた。
「まだだ。まだもう一本あるぞ?」
リーフマンはそう言いながら2本目をキルシュの右手の中指の爪の間の肉にグイと押し込んだ____
____『!!許さないっ!!』____
それは一瞬の出来事であった。
透明な精神体のマリーの両手がマジックハンドのように伸びると、キルシュとリーフマンの精神体をグイと掴むなり手を交差させ、二人の精神体と精神体を一気に入れ替えた!
「ぐあああーっ!」
痛みのあまりキルシュ___否、新しい体に入れられたリーフマンは叫び声を上げ、ショックで気絶してしまった。
「えっ?!何っ?これは?!」
リーフマンが___否、新しい体に入れられたキルシュが驚き叫んだ。
『キルシュさん!怖がらないで!魔女のマリーと言います』
マリーは透明な精神体を魔法の力が無い者でも見える程度に輝度を上げ、精神の会話でキルシュに話しかけた。
「!!あ、あなたは!まっ、、」
リーフマンことキルシュは叫びかけたが、マリーがシィーッと口に人差し指を当てたので、自身の口を抑えて声が漏れるのを防いだ。
『あとで、必ずまたあなた達の精神を入れ替えます!今はそのリーフマンの精神が入っているあなたの体を連れて逃げてください!』
『わかったわ!小さな魔女さん!』
軍の諜報部にいたキルシュはすぐに状況を飲み込んで心で答えると、今までの軍の経験による機転を利かせて大きな声で警備兵を呼んだ。
「おい!警備兵!来てくれ!自白剤の量が多かった!すぐに陸軍病院に連れていくから車を手配してくれ!」
先ほどの警備兵が大急ぎで駆け付けてくるとキルシュの手錠と足枷を鍵で外し、入口にいた警備兵は構内電話で応援を呼び、応援に来た下級兵が担架を持ってくると、リーフマンことキルシュは下級兵の一人と担架でキルシュの身体を運び、エレベータで1階に上がると帝国陸軍本部の建屋の裏手にある駐車場に向かい、スタンバイしていたジープの後部座席にキルシュの肉体を乗せ、手錠と足枷をつけると、ジープの助手席に座り運転手に陸軍病院に行くように指示を出した。
ジープが発進していくのを見届けたマリーは、
『...ごめんなさい。うまく逃げてね、、、あとで、、、あとで、必ず精神を入れ替えてあげるから!...私はもう一か所行かなければならないところがある!』
そう思った次の瞬間には、マリーの精神体は空高く舞い上がりまるで砲弾のような速度で東へと飛んでいったのであった。
...to be continued.
徒然なる日記その1 [日記]
「徒然なるままに書く日記」____
本日から不定期に、「日記」というか「つぶやき記録」というか、そのような類の文章を書いていこうと思います。
多少、私見の多い文章となってしまうと思いますが、その点は、あくまでも個人の日記ということでご容赦願います。
それでは、お時間のある方はどうぞお読みください。
●2019年9月13日(金)
本日は、とりあえず、三種類の文章を書いていこうと思っています。
第一番はちょっと堅い作文的文章、第二番は多少論文的な文章、第三番はかなり砕けた文章、という構成となっています。
<第一番>
本日は仕事で休みを取り、家の駐車場と前の道路との間に生えている雑草をむしり取る作業を行ったのですが、雑草を手でむしり取る動作は結構大変で、やっているうちに次第に汗ばんできて、やがて身体の周りをやぶ蚊がブンブンと飛び回る状態となってしまいました。
草むしりが終わるころには、既に手足の何箇所かが蚊に刺されて、赤く腫れてしまい、かゆくてたまらないので、後で薬を塗らなければならないと思いました。
<第二番>
蚊に刺されやすい人には3つの特徴があるという研究結果が、某Webサイトに掲載されているのを見つけました。
1つ目は二酸化炭素の排出量が多いこと、2つ目はにおいのある汗をかくこと、3つ目は体温が高いということです。
本日行った雑草をむしり取る作業は、しゃがんだ状態で日が差している中で行い、かつ、上記3つの特徴に自分自身が全て当てはまるため、多くの蚊を集める結果となりました。
さらに、気温が高かったのでTシャツとハーフパンツという恰好で作業をしたことが、手足の皮膚の露出が多い状況を作り出し、刺された箇所が手足に集中していたという結果にもなりました。
<第三番>
今日なんだけど、暑くてイヤだったんだけど、家の駐車場と前の道路の間の草がボウボウに生えていたんで、見栄えが悪いので、草むしりをやったんだけど、汗をかくとやぶ蚊が集まってきて、やぶ蚊に刺されまくって、モウ大変だった。
かゆくてかゆくて、薬を塗ってもしばらくかゆくて、もう参った!
...それでは、また。
本日から不定期に、「日記」というか「つぶやき記録」というか、そのような類の文章を書いていこうと思います。
多少、私見の多い文章となってしまうと思いますが、その点は、あくまでも個人の日記ということでご容赦願います。
それでは、お時間のある方はどうぞお読みください。
●2019年9月13日(金)
本日は、とりあえず、三種類の文章を書いていこうと思っています。
第一番はちょっと堅い作文的文章、第二番は多少論文的な文章、第三番はかなり砕けた文章、という構成となっています。
<第一番>
本日は仕事で休みを取り、家の駐車場と前の道路との間に生えている雑草をむしり取る作業を行ったのですが、雑草を手でむしり取る動作は結構大変で、やっているうちに次第に汗ばんできて、やがて身体の周りをやぶ蚊がブンブンと飛び回る状態となってしまいました。
草むしりが終わるころには、既に手足の何箇所かが蚊に刺されて、赤く腫れてしまい、かゆくてたまらないので、後で薬を塗らなければならないと思いました。
<第二番>
蚊に刺されやすい人には3つの特徴があるという研究結果が、某Webサイトに掲載されているのを見つけました。
1つ目は二酸化炭素の排出量が多いこと、2つ目はにおいのある汗をかくこと、3つ目は体温が高いということです。
本日行った雑草をむしり取る作業は、しゃがんだ状態で日が差している中で行い、かつ、上記3つの特徴に自分自身が全て当てはまるため、多くの蚊を集める結果となりました。
さらに、気温が高かったのでTシャツとハーフパンツという恰好で作業をしたことが、手足の皮膚の露出が多い状況を作り出し、刺された箇所が手足に集中していたという結果にもなりました。
<第三番>
今日なんだけど、暑くてイヤだったんだけど、家の駐車場と前の道路の間の草がボウボウに生えていたんで、見栄えが悪いので、草むしりをやったんだけど、汗をかくとやぶ蚊が集まってきて、やぶ蚊に刺されまくって、モウ大変だった。
かゆくてかゆくて、薬を塗ってもしばらくかゆくて、もう参った!
...それでは、また。
タグ:徒然日記
球体関節人形0号の製作途中 [球体関節人形製作]
皆さん、こんにちは、てぃねこです。
球体関節人形0号体が出来上がりました。
...苦節、2年半...なんとか( ;∀;)
でも、そのうち半年以上は複製作りで、石膏の型を
作り、この人形の複製を作ったのですが、あまりうまく
いかず、頭部だけで諦めました。
石膏の取り扱いは難しいですね...
また、元の人形の形状もあまり良くなかったです。
型を取るのであれば、そのように設計して作らないと
ダメであることがわかりました。
まがりなりにも、とりあえず、人形は2体出来たので、
あとは、和服を作っていこうと思います。
でも、将来的には、もっとコンパクトな球体関節人形を
作って服作りをしていきたいです。
それでは...現段階のレポートでした。
球体関節人形0号体が出来上がりました。
...苦節、2年半...なんとか( ;∀;)
でも、そのうち半年以上は複製作りで、石膏の型を
作り、この人形の複製を作ったのですが、あまりうまく
いかず、頭部だけで諦めました。
石膏の取り扱いは難しいですね...
また、元の人形の形状もあまり良くなかったです。
型を取るのであれば、そのように設計して作らないと
ダメであることがわかりました。
まがりなりにも、とりあえず、人形は2体出来たので、
あとは、和服を作っていこうと思います。
でも、将来的には、もっとコンパクトな球体関節人形を
作って服作りをしていきたいです。
それでは...現段階のレポートでした。
青い炎と人形の物語 第9章 魔法の女王 その2 [球体関節人形製作]
「何っ!壊滅させられただと?!」
ヘルフリート議員は驚きと怒りのあまり、黒い電話機の受話器を掴む指が小刻みに震えた。
彼こそ、ファシーズ党の最右翼の派閥である『ゲリマンの爪』派の代表であり、かつ、帝国陸軍の少将の地位にもあり、今回視察団が訪問したシュべルトの町にVV親衛隊を送り込んだ張本人でもあった。
『そ、そうです!ヘルフリート少将殿』
電話の相手は帝国陸軍VV親衛隊の記録員の男であり、こちらの声も電話機の向こう側で震えていた。
『私が双眼鏡で確認した限りでは、隊員達は誰もいない方角に向かって一斉に射撃を行い、その少し後に、、、今度は慌てて銃を乱射し始めて!、、、そればかりか、今度は味方同士で銃を撃ち合い、最後に残った一人はどこかから狙撃されて8名全員が倒されました!』
VV親衛隊の記録員の報告を聞いたヘルフリートは、電話機と受話器を持ったまま、黒い牛皮のソファーのようなデスクチェアにドカッと倒れこんだ。
「...わかった。ゲーベル中尉。今回のVV親衛隊の任務については極秘であることは分かっているな?、、、親衛隊の家族には軍事訓練の最中の事故死ということで伝えるんだぞ!、、、丁重にお悔やみを申し上げるのを忘れるなよ!」
『わかりました。ヘルフリート少将殿。そのように致します』
ヘルフリートはその言葉を聞くと受話器をガチャリと電話機に戻し、マホガニー材のデスクの上に置いた。
彼は驚きと怒りが徐々に収まりつつある中で考え始めた。
(隊員達は一体誰に向かって銃を撃ったんだ?...それとも気でも狂わされたのか?...いずれにしても、魔女どもが巣くう地帯では生半可な攻撃は通用しないということか...ここは、ラッシア国からの軍事進攻が始まったという情報を流して、我ら『ゲリマンの爪』陸軍大隊を派遣するか、、、)
彼はそうと決めると、すぐさま黒電話の受話器を取り上げ、ダイヤルを回し電話を掛け始めた。
「......ああ、クッシュ中佐。私だヘルフリートだ...うむ...記録員からの報告は聞いたか...よし。それで君に動いてもらいたいのだが...ラッシア国の戦車に偽装した中隊を国境付近に侵攻させるんだ......そうだ。明後日の12日の水曜日にだ...そして、そのままシュべルトの町に侵攻を開始するんだそれを迎え撃つ別の中隊を13日の木曜日に向かわせろ。双方が砲撃するが、狙うのはシュべルトの町の住人だ...いいな。ぬかるなよ......それからだが___一昨日から姿をくらましている帝国陸軍の中にいた鬼人族の軍人だが...その後捜索はどうなった?.....ふむ.....なるほど......一名捕らえたか......なるほど、女の鬼人族かか......とにかく、リーフマン大尉に任せて自白させるんだ......いいな......よろしく頼む」
ヘルフリートは受話器を戻した電話機をデスクの上に置き、葉巻入れから1本取り出すとソファから立ち上がり、夕暮れが近づいている窓の外の景色を見ながら、ダブルの背広の内ポケットから取り出したゲルトのオイルライターで葉巻に火を点けた。
フーッと煙を吐き出しつつ、ヘルフリートは思った。
(亜人、異人、移民は排除せねば! 我ら『ゲリマンの爪』に勝利あれだ!)
そんな男の背後の部屋の中央に立つ薄青く透明な少女の姿があった___。その姿は魔法の力を持った者でなければ見ることはできなかったが____
(!!......!!)
少女の心は怒りと憎しみに満ち溢れ、精神の身体が震えたが、何とかそれを抑えていた。
(...まだ、あの男と相手の思考の波動が残っている...今なら、まだ辿れる!)
透明で薄青い少女の精神体は電話機のケーブルに触れると、その姿は一気に掻き消えるようにケーブルに吸い込まれていった。
(__***___**__****__*****___)
やがて、彼女はヘルフリートが話していた相手であるクッシュ中佐の居る帝国陸軍本部の将官専用の事務室に姿を現した。
そこには、軍服に身を固めたクッシュ中佐がウォルナット材のデスクに両肘をかけて暗い緑色のデスクチェアに座っており、そのデスクの前には電話で話のあったリーフマン大尉がやはりこちらも軍服姿で立っていた。
「リーフマン大尉。例の捕らえた鬼人族の女の尋問を直ちに始めてくれ」
デスクの向こうのクッシュ中佐がそう言うと、リーフマン大尉はわずかな薄笑いを浮かべつつ、
「ハッ!中佐殿。直ちに取り掛かります!」
と返答すると敬礼をして部屋のドアを開いて出て行った。
黒い革製の鞭で左掌を軽く叩きながら、リーフマン大尉は、はっきりと分かる薄笑いを浮かべながら地下の階に向かうエレベータに向けて歩を進めていた。
そして、その背後の空中から大尉の後を追う透明な少女の姿があった。
___少女の名はマリー__、魔法の女王となるであろう___まだ10歳の少女であった。
...to be continued.