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花の妖精フローラシリーズ 第二話 窓辺の花束 第1節~ 野に咲く花 その3 ~ [球体関節人形製作]

 二輪の花の影から現れた小人は白いミニスカートのドレスを着ており、肌は白く、髪は白だがわずかに青みがかっていて、妖精のように綺麗な女の子で、背丈は5cmくらいであった。

 そして、器用に右手で黄色い花の茎につかまりながら、ガラスの小瓶の縁をゆっくりと歩いてトーレの目の前に姿を現した。

 とても非現実的な状況ではあったが、妖精の女の子の可愛らしさのためか恐怖は微塵も感じることは無く、トーレはその小さな女の子をジィッと見つめた。

 すると女の子は、これからトーレが行く『カフェ・ライトール』の方角を指した後に、左手の人差し指を左右に振り(ダメ!)のサインをした。

「え?カフェの方角がダメってこと?」
 トーレが思わず口に出すと、女の子は軽くウンと頷いた。

(え?これって、キャサリーンさんとの打ち合わせがダメってことなのかな?)
 トーレがそう思った途端に、今度は、女の子は左手で半分のサインを示し、片側をOK、もう片側にNGのサインを出した。

(えええーっ!僕の考えていることが分かるんだ!)
 トーレは思わずウーンと唸って腕組みをした。

 女の子は次にちょっと振り返り、厨房の方角、そこには後ろ向きで床をモップでせっせっと拭いているアンゲラの姿があったが...そちらの方を指差した後に、トーレに向き直り両手でハートのマークを作り、OKサインを出した。

(え?!それって...もしかして、アンゲラの事?)

 トーレがそう思うと、女の子はニッコリとほほ笑んで頷いた後に、そそくさと二輪の黄色い花の後ろに回ったかと思うと、たちまちその姿は見えなくなってしまった。

 トーレは阿呆のようにポカンと口を開けていたが、そこにアンゲラが戻ってきて、少々強引な感じで、

「足の下拭きたいんですけど、いいですか?」

 と言い、トーレが椅子から素早く降りると、アンゲラはカウンターの椅子の下をゴシゴシと拭き始めた。

「あ、あのさ、アンゲラ?」
 トーレは少々とまどい気味に切り出した。

「え?何ですか?」
 アンゲラは少々怪訝そうに顔を上げた。

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