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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 最終節その2 [球体関節人形製作]


 僕はそこから車で20分ほどの自分の家につくと、今さっき食事をしたばかりなので、
(今晩の夕食はいらないかな?)
 と思いつつ、まずは風呂にでも入ろうと風呂を沸かし、待っている間に、デジタル一眼レフの画像データをUSBケーブルで起動したパソコンに取り込んだ。

 そして、例の妖精の画像をパソコンの画面で拡大して見ようとしたが、
「あれ?転送ミスった?」
 例の薄紫の花の写真の下の葉は、葉っぱだけで他に何も写っていなかった。
 その薄紫の花の写真は全部で4枚で、最初の1枚が試し撮りで、2枚目が妖精が写っていたもの、3枚目が妖精の髪と手だけが写っていたもので、4枚目は普通に花だけのはずであった。

...それが、4枚ともに花だけで、妖精の姿はどこにも写っていなかった!
  それは、元のデジタル一眼レフカメラの中の画像もそうであった。

「そんな...!まさか幻を見た?見間違い?じゃあ彼女とのことも?」
 一瞬、頭が真っ白になった。
「.....」

 一気に意気消沈した僕は、彼女に電話かLINEをするべきか迷ったが、結局やめてしまった。
 そして、風呂が沸いたのでとりあえず入ることにした。

 湯舟につかりながら、僕は冷静にいろいろと考えた。
(でも、確かに高原で見た時も、キミダ喫茶店で彼女と見た時も、確かに写っていた...妖精がそれを消した?そんなことができるのか?デジタルデータなのに...どうやって自分の姿だけ消したんだろう?)

 僕はいろいろと姿だけ消す方法を考えたが、良い方法が見つからず、おかげでちょっと長風呂してしまい、少しのぼせながら風呂を出た。

 Tシャツと短パンだけで頭をタオルでゴシゴシと拭きながら居間に戻ってみると、スマフォのLINEに1件メッセージが入っていた。

 なんだろうと思い見てみると、そのメッセージで僕の心のわだかまりは消え、おだやかな気持ちになっていった。
 そこにはこんなメッセージがあったのだ。

「プロポーズお受けします。正式にもしてね!」

......そして......


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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 最終節その1 [球体関節人形製作]


「百合菜、こんなタイミングで言うのは、ちょっと突然かもしれないけれど...」
 僕はドキドキしながらも思い切って続けた。
「僕と結婚してください!一緒になって欲しい...だからSEにならずに今のままプログラマーで、仕事もできれば軽くして欲しいんだ。その代わり僕が一生懸命働くよ!」
 
 彼女は僕の返答に少し驚いたようであったが、顔には嬉しさが浮かんでいるように見えた。

「わかったわ...少し、考えさせてくれる?返事するから」
 百合菜はちょっと上目遣いで、僕の目を見てそう言った。

 僕はドキドキの中で、
「うん。わかった。待っているよ」
と答えた。

「ねぇ、光一。あなたの服の取り合わせ、まだまだ、だよね?今度の日曜に、ヨネクロに服選びに行こうか?私が選んであげるから」
 百合菜がいきなり話を変えてきたので、僕はちょっと狐につままれたような感じになったが、
「あー、そうだね。いまいちかな?」
と答えた。

「ダメだよ。変えなきゃ。不思議よね。光一って、絵画や写真の色使いには細かいのにね。紺屋の白袴ってやつかな?」
 百合菜の言葉に僕は、
「その通り、紺屋の白袴なんだ」

 そして二人とも笑い合い、その後はとりとめのない会話をして、食事を終えた。
「今日は、まだ掃除機かけて片付けしなきゃいけないから」と彼女が言うので、
 店を出てから車で彼女を家の前まで送り、「また日曜に」と言って別れた。


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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第三節その4 [球体関節人形製作]

 
 スペシャルサンドを見て百合菜が「食べてもいい?」と聞いてきたので、「ああ、僕もたべるよ」と返し、彼女はスペシャルサンドセットのミニサラダを一口食べた後、チキンカツが挟まったサンドイッチをおもむろに頬張った。
 僕も負けじとオニオンバーガーセットのポテトを1本つまんで食べ、同じように厚めのオニオンフライとハンバーグが挟まったバーガーに噛《かじ》り付いた。

 二人ともお昼を食べていなかった(彼女にいたっては朝も抜き)ので、彼女はサンドイッチを丸ごと1つ、僕は大きめのバーガーを半分ほど食べ終わるまではお互い無言であった。

 お互いに食べる作業がちょっと一段落し、アイスコーヒーに彼女はガムシロップとミルクを両方、僕はミルクだけ入れて一口二口飲んだ後に、まず彼女が言った。
「受けたほうがいいってこと?」

「ああ。詳しくは知らないけど、SEになれば給与もあがるんじゃないかな?君は仕事に一生懸命取り組んでいるし」
 僕は少ない情報の中、そう答えたのであるが、

「あなたも知っているように、うちの会社はとても忙しいのよ。SEになるってことは、残業や休日出勤がもっと増えるってことよ」
 百合菜はそう言いながら僕の顔をじっと見つめてきた。

(あっ...そういうことか)
 僕はハッとして、彼女を見つめ返した。

「そうか...ますます会う機会が減るかもしれないということか」
 僕は返答に迷ったが、そう答えた。

 百合菜はその後、関を切ったように話し出した。

「私は今の仕事にやりがいを感じているし、SEの仕事もやってみたいと思っているの。実際、今も半分はSEっぽい仕事をしているのだけどね。で、もし今回の試験を断れば、またしばらくの間は今のプログラマーのままになるけど、私としては、それはあまりやっていきたくないの」
そこで彼女は一旦言葉を切った。
「でも、何か別の道があれば、プログラマーのままでもいいかなって思ってる」

そして彼女は僕に判断を迫る言葉を言った。
「ねぇ、光一。あなたは私の事どうしたいと思ってるの?」

(うっ)
 僕は一瞬返答に迷ったが、今日はなぜか妖精の写真を彼女に見せに飛んできたこともあり、思い切って発言する勢いがついていたようだった。


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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第三節その3 [球体関節人形製作]

「...私も今日はとっても変な話をするんだけど、」
 百合菜は前置きして言った。
「もし、あなたがこの妖精の写真を撮らなかったら、私に電話してこなかったんじゃない?」

(あ...)
 僕は一瞬、絶句してしまった。
 確かにそうだったかもしれない。と思った。

「ごめん。そうだったかもしれない」
 僕は素直に彼女の言葉を認めた。

「私ね、最近、仕事が忙しい忙しいとあなたに言ってたけれど、あなたも結構それを鵜呑みにして、私にあまり連絡してこなくなったよね?...それで、今朝も、私こうして休みなんだけれど、あなたと私ってこれからどうなっていくのかな?なんて思っていたの」
 彼女は少々伏し目がちであるが、ちらちらと僕の方を見ていった。

 僕は話の成り行きにちょっとドキドキしながら返事をした。
「そうか、そうだね。ちょっと僕も君に連絡することを怠けていたのかもしれない...悪かった。ごめん。これからは、もっと連絡する」

 彼女は僕の返事にちょっとの間考えている様子であったが、間もなく話を切り出した。
「...実は、今日相談したいことというのは、私の仕事のことなの」

 一瞬、別れ話を切り出されるのかと思った僕は、彼女の言葉に安堵したが、その後の展開は別の方向でまた僕を焦らせることになるのであった。

「あのね、今週末に課長に言われたんだけど、〈君は丁寧に仕事をしているし実績も上げているから、そろそろ社内のSE登用試験を受けてみたら?〉って言われたの」
 百合菜はお手拭きを右手の人差し指で突《つつ》きながらそう言った。

「え?SEの登用試験?いいじゃな...」
 僕が返事をしようとしたときに、スタッフの女の子がちょうど僕たちのテーブルにやって来て、
「おまたせしました。スペシャルサンドの方は?」
 と聞いてきたので、百合菜が小さく手を挙げ、その目の前に美味しそうなスペシャルサンドが置かれ、
「こちらがオニオンバーガーです」
 と僕の目の前に、こちらも美味しそうなオニオンバーガーが置かれた。
 スタッフの女の子はその後、アイスコーヒーとガムシロップ、ミルクを僕たちの目の前に置いて、
「どうぞ、ごゆっくり」と言い残して厨房に去って行った。


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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第三節その2 [球体関節人形製作]


「えっ?本当?」
 逆に僕は驚き、彼女が指し示した画像の部分を良く見てみた。
 すると、妖精の女の子が下に飛び降りている瞬間を捉えたようで、女の子の黄緑の髪と上に伸ばした両腕の一部が画面の下に写っていた。

「飛び降りたのか!」
 驚いている僕の顔を彼女はじっと見ていた。

「その様子じゃ、どうも本当のようね」
 百合菜はそう言うと、少し笑った。
「最初に見たときはあなたが作ったCGの合成かと一瞬思ったけど、拡大してもとっても自然な画像で、しかも1枚後の写真にあなたは気づいていなかったし」

「おいおい、なんだか探偵みたいだな」
 百合菜の洞察力に僕はちょっとどぎまぎとしていた。

 そのとき、お店のスタッフの女の子が僕たちが座るテーブルに近づいてきた。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」

「あ、ごめんなさい。今から決めるのでちょっと待って」

 百合菜はメニューとにらめっこした。
「えーと、今日は光一のおごりだし、ブランチも食べ損なったし」
 と少し笑いつつ僕を見て、
「じゃあ、スペシャルサンドのアイスコーヒーセットで...光一は?」

「あ、えーと、そうだ僕もお昼食べてなかった。じゃあオニオンバーガーのアイスコーヒーセットで」

「...ご注文を繰り返させていただきます。スペシャルサンドのアイスコーヒーセットを1つ、オニオンバーガーのアイスコーヒーセットを1つ、以上でよろしかったでしょうか?」
 スタッフの女の子は言った。

「はい」
 なぜだか、僕と百合菜の返事がハモってしまった。

「それでは、メニューをお下げします」
 スタッフの女の子はそういうとクルリと向きを変えて厨房の方に歩いていった。

 それを見届けた百合菜は再び口を開いた。
「花の妖精って、日本にもいるのかな?ヨーロッパの国にはいそうだけどね」

「日本にいてもおかしくないんじゃないかな?」
 僕は彼女が妖精の写真を素直に受け入れてくれたことの喜びをかみしめつつ、
「そういえば、昔、子供のころ、コロボックルという小人が出てくる小説を読んだことがあるよ」

「あー、それなら、私も読んだことがある...実は...コロボックルって本当にいるとか?」
 彼女は手を組み、少し首を傾けつつそう言った。

「そうだね。本当にいるのかもしれないね」
 僕がそう答えると、

「この妖精の女の子。あなたのカメラの方を見ているよね?」
 僕が気付いたことを彼女も指摘したが、続けて、
「明らかにカメラ目線よね。これって偶然なのかな?」
 と鋭いことを言い出した。

「え?偶然じゃないってことは...意図的にってこと?」
 僕は彼女の発想にまた驚かされた。

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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第三節その1 [球体関節人形製作]

 駅前の時計台の針は3時55分を指していた。
 結構ギリギリに到着したが、何とか間に合った。
 僕が車を『キミダ』喫茶店の駐車場に停めたのは3時58分であった。

 早速、店の中に入った僕は、よく彼女と座っていた窓際の席を選び、お店のスタッフの女の子に、連れが間もなく来るから注文は後でと伝えて、スマフォでLINEを見た。

『今、家出るところ』4時00分
 百合菜からだった。

『キミダで待ってる』
 返事を返した。

『わかった』4時01分

 そして5分程すると、店の扉がカランと音を立てて開かれ、ブラウスにスカート、薄手のカーディガンを羽織った百合菜が姿を現した。

 彼女は僕を見つけるとゆっくりと近づいてきて、僕の正面に座り、開口一番「疲れたー」と言って両手を下にして一旦顔をテーブルに突っ伏して、それからゆっくりと頭をもたげて左手で頬杖をつきながら僕の顔を見た。

「仕事大変そうだね」
 僕がそう言うと、

「うん。昨日も23時半まで会社で仕事してさ、それから車で帰って0時過ぎて、寝たの3時かな。で、今日起きたのが11時、それからウダウダして今に至るわけ」
 彼女は一気にそう言うと、さらに続けて
「見せたい写真て何?」
 と聞いてきた。

 僕はここにきて一瞬迷ったが、ええい、そのために急いできたんじゃないか、と思い切ってデジタル一眼レフカメラをカバンから取り出し、再生モードにして目的の画像を大きめな液晶に表示させて彼女にカメラごと渡した。
「その薄紫の花の下をよく見てもらいたいんだ。女の子の姿が...」

「えっ?!心霊写真?そういうの苦手なんだけど」彼女はカメラを受け取る寸前で体が固まった。

「いや、そうじゃないと思う。たぶん妖精か何かではないかと」
 僕はちょっとしどろもどろになった。

「妖精?ほんと?」
 彼女は半信半疑でカメラを受け取ると、しげしげと液晶の画像を見た。

「これって拡大はどうするの?」
 彼女が聞いてきたので、僕は操作方法を教えた。

 そして、ちょっとの間、彼女は画像を見つめ、続いてこう聞いてきた。
「写真を前後に送るのはどうするの?」

 また、僕が操作方法を教えると、今度は彼女はじっくりと前後の写真も拡大しつつ見ているようだった。

「ねぇ、光一。最初の写真の1枚後ろの写真にも写っているよ」
 彼女はそう言うとカメラの液晶の画面の一部を指で示しながら僕にカメラを渡してきた。

タグ:花の妖精
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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第二節その2 [球体関節人形製作]

 すると、意外にも話が合い、趣味に関しても、登山をすること(僕はハイキング程度だけど)、美術館で絵や彫刻を見ること、弦楽のミニコンサートを聴くこと、など...結構共通点が多かった。
 それから休みの日の度に会って、いろいろなところに出かけたな...そう言えば最近は彼女の仕事が忙しいこともあって、休日に会う機会がめっきり減ってきている。
 そういえば今日の日曜も仕事が入りそうだと先々週に彼女は言っていたけれど、今現在はどうなんだろう?
 仕事中だったら悪いな。でも、もしかしたら休みを取っているかもしれない。

 僕はその場で彼女に電話を掛けた。
 LINEやメールでも良かったかもしれないけれど、今の僕は直接彼女と話しがしたかった。

 8回程の呼び出し音の後に彼女がでた。

「光一だけど、百合菜は今、仕事中かい?」

「ううん、違うよ。今日は休みをもらえたの。今、家で洗濯物と格闘中」
 百合菜は少し疲れ気味の声だった。

「そうなんだ。実は今『はればれ高原』にまた来て写真を撮っていたんだけれど、君にどうしても見せたい写真が撮れてね。これから会いに行ってもいいかな?」

「...いいわね『はればれ高原』、私も行きたかったな」
 百合菜は少し怒ったような声で言った。

「...ごめん。君を誘えば良かったんだけど、今日は仕事かと思っていたものだから...」

「うん。別にいいんだけどさ...ねぇ、私からも光一に相談したいことがあるの」

「そうなんだ。わかった。じゃあ、こちらは今からなら車で2時間ほどで君の家の近くまで行けるから、4時に君の家に一番近い『キミダ』喫茶店で待ち合わせるのでどうかな?」

「あ、うん。わかった。こちらも洗濯物やっつけてから行く。ブランチもまだだし、じゃあ4時ね」
 百合菜はそう言うと電話を切った。

 僕は急ぎ野原を横切って1回500円の駐車場に向かって行った。

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和服が仕上がりました [球体関節人形製作]

 こんばんは、長い間、制作していた和服がようやく完成しました。

 今は1号体の和服だけですので、時間を見て0号体の和服も作って
いきたいです。

 そして、その次は、ぜひ、新しい人形と袴姿にも挑戦してみたいです!

人形1号和服s.jpg
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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第二節その1 [球体関節人形製作]

 
 女の子の髪の毛は濃い黄緑色で、足は素足で靴を履いていなかった。

 僕はたぶんこの花を撮るときに、花にピントをあわせるべく、いろいろとカメラの操作をしていたので、その場では気が付かなかったんだと思う。
 しかも、その女の子が写っていたのはそれ1枚きりだったので、ますます撮影のときには気が付かなかったんだろうと思う。

(これって、もしかすると花の妖精なんじゃないか?)

 僕はデジタル一眼レフのカメラの機能を使って、その妖精(?)の女の子を拡大してみた。
 すると、カメラの方を見て、わずかに微笑んでいるのが見て取れた。

(えっ?!これって、カメラを意識している?)

 僕は更に驚いて、この事実を誰かに伝えたくなった。

(インスタに、この状況と一緒に投稿するか?...あー、でも、それだと単にCGの合成写真としか思われないかもしれないな...)

 この妖精らしき女の子を撮影した花がどこらへんに咲いていたものなのかは正確には覚えていないが、もう一度同じ場所に行っても、また再び妖精に遭遇することは難しいと思われた。

(でも、誰かに伝えたいな...)

 そのとき、僕の脳裏に浮かんだのは、やはり彼女『羽間谷《はまや》 百合菜《ゆりな》』の姿であった。

 彼女は僕より3歳年下の25歳で、僕は背がそれほど高くなく165cmくらいなんだけれど、彼女の背は僕よりも5cmほど低い160cmくらいなんだ。
 彼女とは、まだ駆け出しのSEの頃にプロジェクトの協力会社のメンバーの一人として一緒に仕事をしたのだけれど、その物件はかなりトラブって深夜遅くまで作業をして、ようやくシステムがうまく動き出したのだけれど、そこがまた辺ぴな場所にある工場で、僕と彼女はその工場を出た後に、泊まるところが無いかといろいろとビジネスホテルを探したけれど見つからず、かといってラブホテルに入るわけにもいかず、仕方なく24時間営業のファミレスに入り、夜が明けるまでそこで軽く食事とお茶をしながら、いろいろと話しをしたんだ。

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「花の妖精フローラ」第一話 繰り返す思い出 第一節その2 [球体関節人形製作]

 
 そして、今日はここ『はればれ高原』の野原を散策している訳なんだ。
 いかにも雨が降りそうなどんよりとした曇り空なので、この高原を訪れている人もまばらで、気分的にものんびりしているんだ。
 そう、僕はどうも人混みや雑踏が苦手で、観光地でも有名なところだと景色はいいのだけれど、何しろ人が多くて気疲れしてしまうんだ。

 え?今日も一人で散策かって?
 ああ、一人で散策することがほとんどだね。
 以前、彼女と二人で散策したことがあったけれど、僕があんまりカメラであちこちと小さい被写体ばかり撮るものだから飽きられてしまってね。それ以来一緒には行っていないんだ。
 彼女の仕事は別の会社のプログラマーなんだけれど、最近は仕事が結構忙しいらしく、あまり頻繁に会うことができないんだ。
 時々会うのは、もっぱら週末の金曜か土曜の夜に、お互いの仕事がちょうど終わった後で、職場近くの居酒屋で落ち合って、ちょっと食事して、飲んで、話して、それから僕か彼女の家に行って一晩過ごして、翌朝は「またね」と別れて、その休みの日は彼女が休日出勤だったりという具合さ。
 でも、最近はそれも月に一度か二度か、そんなに多くない。

 そんな訳で、今日も僕はひとり高原を散策している。

 で、ちょっと、ここからおかしな話になってしまうのだけれど、野原の小さな花の写真を絞り優先モードで撮っていたんだけど、不思議なものが写っていることに気が付いたんだ。

 それは薄紫のちょっと野草としては珍しい形の花で、撮っていたときには気が付かなかったんだけど、雨がポツポツと降ってきたので、屋外の休憩所に逃げ込んで、今さっき撮影した写真を眺めながら、どの写真をインスタに投稿しようかなと考えていたときだったんだ。

「あれ?なんだこれ?」
 僕は1枚の写真を見てびっくりした。

 何と撮影した薄紫の花のすぐ下の葉の上に、薄緑色のワンピースを着たとっても小さな女の子がいたんだ!

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