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青い炎と人形の物語その2 [球体関節人形製作]

こんばんは、てぃねこ、こと、ハニたろべネコです。
人形作りと、オリジナルの物語を作っています。
「青い炎と人形の物語」の続きです。
では、どうぞ。

第1章 冬のある日(その2)

 「パパは明日の夜まで出張だし、お手伝いのアガーテさんは夕方からの
はずだし...?」
そう思いながらも、マリーは人形を小ぶりのテーブルの上に優しく置いた。
「ちょっと待っていてね。スー」
そう、スーは人形の愛称、正しくはスージー。
マリーは部屋のドアを押し開け、廊下を、階段を、少し小走りに階下へと
向かっていった。
玄関の扉まではあと少し。

........

テーブルで寝転んで見る天井はかなり退屈だ。
スージーが何度も見てきた景色なのだから。
「見飽きたわ」
でも、今はマリーのことが気がかりで、すぐに別のことを考え始めた。
「旅人なのは間違いないわ。遠くの風が感じられるもの...でも」
彼女は急に不安になった。
「こんな時間に、旅人の客人?何かおかしいわ。それに、何か動物の気配が...」
スージーは耳をそばだてた。

........

物語画像猫サミーC.jpg

黒い猫は普段は訪問者が来ても、わざわざ昼寝から起きることはない。
が、今日ばかりは気になった。
「男の人間のようでもあるし、獣のオスのようでもあるぞ?」
猫は素早くタンスの上から飛び降り、マリーの後を追って、そっと
1階の廊下まで降りて行った。
「...イヌだったら困るな...おいらはイヌだけは苦手なんだ。」
猫はゆっくりとマリーの足首にすり寄った。

........

「あら、サミー」
そう、黒猫の名前はサミー。
「ちょっと、ここにいて、待っていて」
マリーは猫の頭を少しなでて、玄関の扉の小窓を開いた。
「...どなたですか?」
小窓の位置はマリーの背丈からは、ちょっと高い。
彼女はつま先立った。

「荷物をお届けに参りました。」
くぐもった声が聞こえた。

小窓の外には深く帽子をかぶった郵便配達人らしき大男が
立っている。
「待って、今、開けるから」
マリーは扉のかんぬきを急いで外し、取っ手に手をかけた。
........
「イヌ!?まずい!!」
猫のサミーは階段の裏側にすっ飛んでいった。
........
「!...この気配は...人じゃない!?」
テーブルの上でスーは蒼白になった。
........
玄関のドアが開き、郵便配達人の男は帽子を取る。
「...やあ、お嬢ちゃんがマリーだね...私のご主人様がお待ちかねだ!!」

サッと顔色が変わったマリーだったが、一瞬の出来事で彼女自身に何が
起きたのかわからなかった。
あっと言う間もなく、彼女は抱きかかえられ、雪の舞う白い野原を疾走していた。
恐怖の中で見上げた郵便配達人の顔は人ではなかった。
「!...オオカミ!」
彼らの姿は、間もなく村のはずれの森の中に消えた。

人形のスージーと、猫のサミーにはなす術もなかった。が、
「何とかしなければ!」スージーとサミーは同時に決意を固めた。

........
to be continued...

p.s. 人形作りもガンバリます...

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