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青い炎と人形の物語 第3章その2 [球体関節人形製作]

てぃねこ@ハニたろべネコです。
人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。

「青い炎と人形の物語」の第3章の続きです。
それでは、どうぞ。

第3章  覚醒した魔法(その2)

 (!!なにっ?!)

 予想もしなかった衝撃に、リーゼの精神は嵐の中の木葉のように翻弄された。
 リーゼが人形を手から離した瞬間にマリーは人形を受け止め、その直後、リーゼが後退りし、よろけたところを狼人のダークが受け止めて身体を支えた。
 「リーゼ様?!大丈夫ですか?!」ダークは鋭く言った。

物語画像人形を抱くマリーC.jpg

 目の焦点が定まらない様子で、リーゼはつぶやくように言った。「...私は、今は、ルイーゼよ」
 狼人のダークとエルケは、その言葉に唖然とした。
 「リーゼ様は?!どこに?!」エルケはそう叫ぶと、すぐさまリーゼのところに駆け寄った。

 リーゼという名前の女は、ダークに掴まりながらも一人で立ち上がって言った。
 「安心して。今はショックで頭の中で眠っているところだから...でも、そのうち起きてくるでしょう」
 その発言を聞いて、ダークとエルケは顔を見合わせた。
 そして、今はルイーゼのリーゼは言った。「ダーク、エルケ、二人にお願いします。マリーを家に帰してあげて下さい。外に仲間の犬と猫が待っています。そして...」彼女は意を決して告げた。
「しばらく、私が動けないようにベッドに縛りつけておいて下さい」

 この発言には、ダークもエルケも驚き困った顔をした。
「もし、今のあなたがリーゼ様でないとしても、リーゼ様が中にいる以上、手荒なことはできませんが...まずは、あなたの言うことに従いましょう」ダークはそう言うとエルケに目配せして言った。「エルケ、お前はマリーお嬢さんを外の仲間に渡してくれ、ソリを使っていいぞ」
 「わかりました。お兄様」エルケはそう答えると、しゃがみこんで、人形を抱き締めているマリーの目を見つめて言った。
 「マリー、大変だったわね。今からお家に帰れるわ」

 ダークはエルケのそんな様子を見て、マリーと視線が合うと、軽くサヨナラの挨拶をして「失礼します、リーゼ様」と言うと、リーゼを軽々と抱き上げた。
 「ママ!」マリーはリーゼの姿のルイーゼに呼び掛けた。
 「マリー、心配しなくていいわ。ママはしばらくしたら戻るからね」ルイーゼは疲労の顔の中でも、微笑みながら言った。

 リーゼを抱き上げたダークは、彼女を静かに2階の主人の部屋へと運んで行った。

 お客用の外套をマリーの肩に掛け、自分も外出用のショールをまとったエルケは玄関の外に出ると指笛を鳴らした。

 深夜の稽古で魔法に覚醒したマリーは、母親と同様に精神のフィールドを拡大した。
 (サミー!ベルガー!あなたたちだったのね?)マリーは嬉しそうに思考を伝えた。
 (マリー!無事だったんだ!)サミーはマリーと話すのは初めてだったが、スムーズに答えた。
 (話すのは初めてだな。マリー、無事で良かった)ベルガーがホッとした口調で答えた。
 (私も狼とは感情の思考をやりとりできるけど、他の動物とこんなに明確に話せたのは初めてだわ)エルケはマリーの覚醒した力に少々驚きながらも口を挟んできた。
 そこで流れた3者の感情は、少なくとも敵では無いというもので、3者はそれを共有した。

 まもなく、狼2頭立てのソリが現れ、マリー、エルケ、サミーが乗り込み、ベルガーは搭乗を固辞して、ソリの後ろを追いかけた。

 「マリー、リーゼ様とルイーゼ様はこれからどうなるの?」
ソリを操りながらエルケは心配そうにマリーに聞いた。

.......

to be continued...


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