青い炎と人形の物語 第5章 その4 [球体関節人形製作]
こんばんは、てぃねこ@ハニたろべねこです。
毎週、金曜夜の更新です。
新しく転校してきた少女は何者なのか...?
魔法の力に覚醒したマリーとの関係は...?
それでは、続きをどうぞ。
第5章 マリーの覚悟 その4
1時限目のホームルームが終わると、4年生のクラスの生徒は女子を中心に転校生の周りにワッと集まった。
4年生は全員集まっても12名...いや今は13名になった。
「ローラントさ...ザーラさんは、どこから来たの?」女子の一人が尋ねる。
「ハンブルスよ。ザーラって呼んでね。パパは医者なんだけれど、転勤になって、この村の診療所に勤めることになったの」
ザーラは微笑みながら静かに答えた。
「あ、そう言えば、診療所の先生がもうお爺ちゃんだから、若い先生が来るってママが言ってた!」おしゃべりのゲルデがすかさず割り込んできた。
「若いといっても、パパは45才だけどね」ザーラは少し歯を見せて笑った。
(犬歯?長い?)
生徒の輪の一番後ろに立っていたマリーは、その事実に気がついた。
「ザーラの犬歯って、長いのねー」輪の一番前のゲルデも目ざとく気付いて、すかさず突っ込みを入れた。
「うん、やんなっちゃうの。歯並びが悪くて。今、町の歯医者で矯正中なの」とザーラ。
「どこの町?」とゲルデ。
「ええ、月に一度、リヨネブルクまで治療で通ってるの」とザーラ。
「ふーん。大変だねー」とゲルデ。
「ハンブルスでは、どこの学校に行ってたの?」と今度は別の女の子が質問する...
...そのとき、マリーの頭の中だけに、聞いたことのある女の子の声が響いてきた。
(...マリー...聞こえる?)
輪の一番後ろにいたマリーは、ザーラが別の子と話している様子を見ていた。
(!?、、、あなた、ザーラ?)マリーは心の声で返す。
(そうよ、マリー。あなたもようやく魔法に目覚めたようね?)
(...なぜ? あなたはそれを知っているの?!)
(ふふ、それは今は秘密。今度話すわ)ザーラは、今度はゲルデと笑いあっていた。
そのとき、2時限目の授業のエトムント先生が教室に入ってきたので、生徒たちは輪を解いて自分の席に着席した。
マリーは窓際の一番後ろ、ザーラは廊下側の一番後ろの席に腰を下ろした。
(...これは! リーゼ伯母さんの差しがねなの?)チラリとザーラの横顔を見やったマリーの思考には、少しばかり怒気が含まれていた。
(もとは、そうであったけど...今は少し違うわ)ザーラは、黒板に書かれた数式を見つつ、そう思考を送った。
(マリー、あなたのことも、私のことも、みんなには秘密だからね)
(そうね、お互い様ね)とマリーは黒板の公式をノートに写す。
(エルケさんのことも聞いているわ。狼人のことは信用しても大丈夫よ)ザーラは、前に座っている女の子からテキストをちょっと借りながら、思考を返す。
(、、、!あなたは、どこまで知ってるの?!)マリーは再び怒気を含んだ思考を送った。
(怒らないでね...マリー、教えてあげるわ。私の役目は、あなたの監視役。そして、私は魔女と鬼人のハーフ。よろしくね)
(!、、、魔女と鬼人の!、、、ハーフ!)マリーは驚き、怒気がどこかに飛んでしまった。
(また、そのうち、ゆっくりと話しましょう)
ザーラはそう締め括ると、思考の伝送路を切ってしまった。
マリーの能力で、無理矢理、思考の伝送を再開することもできたが、ここは怒りを静めてじっくりと考えてみた。
(監視役ね、、、私がリーゼ伯母さんの秘密を探らないように?、、、エルケさんや、ダークは命令に従っているだけ?、、、リーゼ伯母さんには鬼人の部下もいる?、、、そしてザーラのような魔女と鬼人のハーフも?、、、ラウラさんは中立と考えていいの?、、、リーゼ伯母さんが私の魔法の力を欲しがったのは、ママが伯母さんから離れたことと、パパの仕事と何か関係がある?、、、)
様々な事実が少しずつ繋がってきたようだったが、マリーには、まだその全貌が見えては来なかった。
(まずは、ザーラは手強そうだから適度に付き合って、、、エルケさんは信用して、、、ラウラおばさんに相談するのが良さそうね)
マリーは、とりあえず、そう結論を出すと、算数の練習問題を解き始めたのであった...
...to be continued.
毎週、金曜夜の更新です。
新しく転校してきた少女は何者なのか...?
魔法の力に覚醒したマリーとの関係は...?
それでは、続きをどうぞ。
第5章 マリーの覚悟 その4
1時限目のホームルームが終わると、4年生のクラスの生徒は女子を中心に転校生の周りにワッと集まった。
4年生は全員集まっても12名...いや今は13名になった。
「ローラントさ...ザーラさんは、どこから来たの?」女子の一人が尋ねる。
「ハンブルスよ。ザーラって呼んでね。パパは医者なんだけれど、転勤になって、この村の診療所に勤めることになったの」
ザーラは微笑みながら静かに答えた。
「あ、そう言えば、診療所の先生がもうお爺ちゃんだから、若い先生が来るってママが言ってた!」おしゃべりのゲルデがすかさず割り込んできた。
「若いといっても、パパは45才だけどね」ザーラは少し歯を見せて笑った。
(犬歯?長い?)
生徒の輪の一番後ろに立っていたマリーは、その事実に気がついた。
「ザーラの犬歯って、長いのねー」輪の一番前のゲルデも目ざとく気付いて、すかさず突っ込みを入れた。
「うん、やんなっちゃうの。歯並びが悪くて。今、町の歯医者で矯正中なの」とザーラ。
「どこの町?」とゲルデ。
「ええ、月に一度、リヨネブルクまで治療で通ってるの」とザーラ。
「ふーん。大変だねー」とゲルデ。
「ハンブルスでは、どこの学校に行ってたの?」と今度は別の女の子が質問する...
...そのとき、マリーの頭の中だけに、聞いたことのある女の子の声が響いてきた。
(...マリー...聞こえる?)
輪の一番後ろにいたマリーは、ザーラが別の子と話している様子を見ていた。
(!?、、、あなた、ザーラ?)マリーは心の声で返す。
(そうよ、マリー。あなたもようやく魔法に目覚めたようね?)
(...なぜ? あなたはそれを知っているの?!)
(ふふ、それは今は秘密。今度話すわ)ザーラは、今度はゲルデと笑いあっていた。
そのとき、2時限目の授業のエトムント先生が教室に入ってきたので、生徒たちは輪を解いて自分の席に着席した。
マリーは窓際の一番後ろ、ザーラは廊下側の一番後ろの席に腰を下ろした。
(...これは! リーゼ伯母さんの差しがねなの?)チラリとザーラの横顔を見やったマリーの思考には、少しばかり怒気が含まれていた。
(もとは、そうであったけど...今は少し違うわ)ザーラは、黒板に書かれた数式を見つつ、そう思考を送った。
(マリー、あなたのことも、私のことも、みんなには秘密だからね)
(そうね、お互い様ね)とマリーは黒板の公式をノートに写す。
(エルケさんのことも聞いているわ。狼人のことは信用しても大丈夫よ)ザーラは、前に座っている女の子からテキストをちょっと借りながら、思考を返す。
(、、、!あなたは、どこまで知ってるの?!)マリーは再び怒気を含んだ思考を送った。
(怒らないでね...マリー、教えてあげるわ。私の役目は、あなたの監視役。そして、私は魔女と鬼人のハーフ。よろしくね)
(!、、、魔女と鬼人の!、、、ハーフ!)マリーは驚き、怒気がどこかに飛んでしまった。
(また、そのうち、ゆっくりと話しましょう)
ザーラはそう締め括ると、思考の伝送路を切ってしまった。
マリーの能力で、無理矢理、思考の伝送を再開することもできたが、ここは怒りを静めてじっくりと考えてみた。
(監視役ね、、、私がリーゼ伯母さんの秘密を探らないように?、、、エルケさんや、ダークは命令に従っているだけ?、、、リーゼ伯母さんには鬼人の部下もいる?、、、そしてザーラのような魔女と鬼人のハーフも?、、、ラウラさんは中立と考えていいの?、、、リーゼ伯母さんが私の魔法の力を欲しがったのは、ママが伯母さんから離れたことと、パパの仕事と何か関係がある?、、、)
様々な事実が少しずつ繋がってきたようだったが、マリーには、まだその全貌が見えては来なかった。
(まずは、ザーラは手強そうだから適度に付き合って、、、エルケさんは信用して、、、ラウラおばさんに相談するのが良さそうね)
マリーは、とりあえず、そう結論を出すと、算数の練習問題を解き始めたのであった...
...to be continued.
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