青い炎と人形の物語 第8章 戦慄の魔法兄妹 その7 [球体関節人形製作]
第8章 戦慄の魔法兄妹 その7
フランツ達4人にメインディッシュが運ばれてきた。
運んできたのはレオナと二人の大人の若い女性の給仕、そして、もう一人は何と地下に行ったはずのレオンであった。
「お待たせしました。羊と鹿のヴルストとザワークラウトです」
レオンは楽しそうにフランツに対して給仕し、カーヤにはレオナが給仕した。
「『魔の帝王』レオン。視察団の彼らは今どうしているんだ?」
フランツはレオンにストレートに尋ねた。
「ああ、フランツさん。『魔の帝王』は余計です。レオンでいいですよ。ええ、彼らはそれぞれ楽しんでいます」
レオンは歌うように楽し気に言った。
「ロータル議員、エッボ議員、ディーターさんとユルゲンさんは二人の美女と夜のラウンジでお酒を飲みながら政治関連の話で談笑しています...ヨーゼフ博士とアウグスト神父は昼間のカフェで、こちらも二人の美女とともに話をしていますが、こちらは魔女、狼人、鬼人に関する歴史的な出来事、民俗学、古代史など、いろいろな話をしていて、僕も途中まで大変興味深く聞かせてもらいましたよ!また聞きたいくらいです」
「...オトコって、本当に美女とかが好きなのね!...レオン兄さんも?」
レオナが少しふくれっ面で口を挟んできた。
「...そうだね。大人の男はグラマーな美女が好きなようなので、そのようにしているよ...僕はまだ子供なんで、それほどでもないよ」
レオンは大人の対応でレオナの言葉をサラリと躱《かわ》した。
「...夜と、昼...すると、レオン。それらはまやかしなのだね?」
フランツは少々驚きつつ尋ねた。
「ええ、フランツさん。でも長丁場になるので、それぞれの場には、本物の鬼人族の女の人が二人ずつ張り付いていますけどね...それ以外はすべてまやかしです」
「...君がいなくても術は続いているんだね?」
「ええ...僕はまがりなりにも『魔の帝王』と呼ばれているくらいですから、その位は簡単ですよ」
レオンは事もなげに言い放った。
「魔女の力は、通常は女だけに出現するものなの」
レオナがまた口を挟んできた。
「でも、レオン兄さんは千年に一度だけこの世に生まれるという男の魔法使い...『魔の帝王』なのよ!」
(レオナはレオンのことがよほど自慢らしいな...ブラザーコンプレックスなのか?)
フランツは心の中でそう思ったが、その瞬間”しまった!”思った。
「フランツさん!何か問題でも?!」
レオナが腰に手を当てて、フランツに詰め寄ってきた。
”やはり強い思考は漏れてしまうのか!”フランツはレオナとレオンの能力に恐れ入った。
「レオナ!フランツさんには特に他意は無いよ」
レオンがそう言うと、レオナは素直に”うん”とうなずきフランツから離れた。
「さて...話が一段落したところで、フランツさん!」
今度はブルクハルトが話に割り込んできた。
「フランツさんも私も含め、視察団一行は、このレオンとレオナに感謝しなくてはなりません」
「え?!それはどういうことですか?」
と聞き返すフランツ。
「ファシーズ党の最右翼の派閥である『ゲリマンの爪』派をご存じですか?」
ブルクハルトは話しながらも精力的にメインディッシュを口に運んでいた。
「『ゲリマンの爪』...話は聞いたことがありますね...ヘルフリート議員が代表であるとか?」
フランツは記憶を呼び覚ましつつ答えた。
「よくご存じで...ヘルフリート議員は軍人上がりなのですが、いまだに軍の中で私と同じく少将の位でもあります...その彼が今、民族主義の議員や軍人を集めて勢力を拡大しています。そして、私たち視察団がこの地を訪れるのを絶好の機会と捉え、私たちを魔女や鬼人族に襲撃で殺されたように見せかけるつもりなのです!」
ブルクハルトは食べるのをやめてナイフとフォークを両手に立てて持ちながら力を込めて言った。
「え?!殺されたようにみせかける?それは...まさか!」
フランツは顔面蒼白となった。
「そうです。暗殺です。ヘルフリート少将の配下の軍のVV親衛隊がすでに行動を開始しています...もう、まもなく...今日の夜中にこの町に入ってくるでしょう!」
そう言うとブルクハルトはグラスに半分程の白ワインを一気に飲み干した。
「すると...この我々が宿泊している公民館にやってくるのでは?!」
フランツは焦ってそう言った。
「フフフ...フランツさん。そう心配しなくてもいいですよ。この建物が町のはずれに近いところにあることを疑問に感じませんでしたか?...実はここは中央政府が昔建造した単なる古いホテルなんですよ...立派な作りですが...本当の公民館兼ホテルはもっと町の中央付近にあります」
「...すると!この町に入るときから、もうすでに”まやかし”の術が使われていたということですか?!」
「ええ、主にディーターさんと馬車の御者さんに対してだけですけどね」
レオンが口を挟んできた。
「なるほど...で、そのVV親衛隊が夜中に来たら、どう応戦するのですか?」
フランツはブルクハルトとレオンの二人に聞くように尋ねた。
...to be continued.
フランツ達4人にメインディッシュが運ばれてきた。
運んできたのはレオナと二人の大人の若い女性の給仕、そして、もう一人は何と地下に行ったはずのレオンであった。
「お待たせしました。羊と鹿のヴルストとザワークラウトです」
レオンは楽しそうにフランツに対して給仕し、カーヤにはレオナが給仕した。
「『魔の帝王』レオン。視察団の彼らは今どうしているんだ?」
フランツはレオンにストレートに尋ねた。
「ああ、フランツさん。『魔の帝王』は余計です。レオンでいいですよ。ええ、彼らはそれぞれ楽しんでいます」
レオンは歌うように楽し気に言った。
「ロータル議員、エッボ議員、ディーターさんとユルゲンさんは二人の美女と夜のラウンジでお酒を飲みながら政治関連の話で談笑しています...ヨーゼフ博士とアウグスト神父は昼間のカフェで、こちらも二人の美女とともに話をしていますが、こちらは魔女、狼人、鬼人に関する歴史的な出来事、民俗学、古代史など、いろいろな話をしていて、僕も途中まで大変興味深く聞かせてもらいましたよ!また聞きたいくらいです」
「...オトコって、本当に美女とかが好きなのね!...レオン兄さんも?」
レオナが少しふくれっ面で口を挟んできた。
「...そうだね。大人の男はグラマーな美女が好きなようなので、そのようにしているよ...僕はまだ子供なんで、それほどでもないよ」
レオンは大人の対応でレオナの言葉をサラリと躱《かわ》した。
「...夜と、昼...すると、レオン。それらはまやかしなのだね?」
フランツは少々驚きつつ尋ねた。
「ええ、フランツさん。でも長丁場になるので、それぞれの場には、本物の鬼人族の女の人が二人ずつ張り付いていますけどね...それ以外はすべてまやかしです」
「...君がいなくても術は続いているんだね?」
「ええ...僕はまがりなりにも『魔の帝王』と呼ばれているくらいですから、その位は簡単ですよ」
レオンは事もなげに言い放った。
「魔女の力は、通常は女だけに出現するものなの」
レオナがまた口を挟んできた。
「でも、レオン兄さんは千年に一度だけこの世に生まれるという男の魔法使い...『魔の帝王』なのよ!」
(レオナはレオンのことがよほど自慢らしいな...ブラザーコンプレックスなのか?)
フランツは心の中でそう思ったが、その瞬間”しまった!”思った。
「フランツさん!何か問題でも?!」
レオナが腰に手を当てて、フランツに詰め寄ってきた。
”やはり強い思考は漏れてしまうのか!”フランツはレオナとレオンの能力に恐れ入った。
「レオナ!フランツさんには特に他意は無いよ」
レオンがそう言うと、レオナは素直に”うん”とうなずきフランツから離れた。
「さて...話が一段落したところで、フランツさん!」
今度はブルクハルトが話に割り込んできた。
「フランツさんも私も含め、視察団一行は、このレオンとレオナに感謝しなくてはなりません」
「え?!それはどういうことですか?」
と聞き返すフランツ。
「ファシーズ党の最右翼の派閥である『ゲリマンの爪』派をご存じですか?」
ブルクハルトは話しながらも精力的にメインディッシュを口に運んでいた。
「『ゲリマンの爪』...話は聞いたことがありますね...ヘルフリート議員が代表であるとか?」
フランツは記憶を呼び覚ましつつ答えた。
「よくご存じで...ヘルフリート議員は軍人上がりなのですが、いまだに軍の中で私と同じく少将の位でもあります...その彼が今、民族主義の議員や軍人を集めて勢力を拡大しています。そして、私たち視察団がこの地を訪れるのを絶好の機会と捉え、私たちを魔女や鬼人族に襲撃で殺されたように見せかけるつもりなのです!」
ブルクハルトは食べるのをやめてナイフとフォークを両手に立てて持ちながら力を込めて言った。
「え?!殺されたようにみせかける?それは...まさか!」
フランツは顔面蒼白となった。
「そうです。暗殺です。ヘルフリート少将の配下の軍のVV親衛隊がすでに行動を開始しています...もう、まもなく...今日の夜中にこの町に入ってくるでしょう!」
そう言うとブルクハルトはグラスに半分程の白ワインを一気に飲み干した。
「すると...この我々が宿泊している公民館にやってくるのでは?!」
フランツは焦ってそう言った。
「フフフ...フランツさん。そう心配しなくてもいいですよ。この建物が町のはずれに近いところにあることを疑問に感じませんでしたか?...実はここは中央政府が昔建造した単なる古いホテルなんですよ...立派な作りですが...本当の公民館兼ホテルはもっと町の中央付近にあります」
「...すると!この町に入るときから、もうすでに”まやかし”の術が使われていたということですか?!」
「ええ、主にディーターさんと馬車の御者さんに対してだけですけどね」
レオンが口を挟んできた。
「なるほど...で、そのVV親衛隊が夜中に来たら、どう応戦するのですか?」
フランツはブルクハルトとレオンの二人に聞くように尋ねた。
...to be continued.
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