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青い炎と人形の物語 第8章 戦慄の魔法兄妹 その8 [球体関節人形製作]

 第8章 戦慄の魔法兄妹 その8

「僕とレオナの二人で応戦しますよ」
 レオンが答え、それに対してレオナも頷いた。

「二人だけで?」
 フランツはいぶかしげに尋ねた。

「...フランツさん。僕たちの力をあなどってはいけませんよ?今まであなたにお見せしたものは、ほんの小手調べです。本番の戦いのときには...あなたの頭に戦いのイメージを送りましょう」

「そうよ!レオン兄さんは凄いんだから!」
 レオナが追いかけるように付け足した。

「情報によれば」とブルクハルト。
「敵の奇襲は明日の未明、朝の4時だとのことです...それまでは、フランツさん。お部屋でゆっくりとお休みください...時間がくればハウスキーパーの女が起こしに行きます」

「...私のことは拘束しないのですか?」
 
「あなたは逃げたり、下手な抵抗をする人ではないでしょう。もっとも逃げることは不可能ですがね」
 ブルクハルトはそこまで言うとザスキアに目配せし、後の会話をザスキアが引き継いだ。

「...で、フランツ先生。お願いがあるの...」
 そう言ったザスキアの目は、やや情熱の光を帯びていた。

「...行こう。レオナ」
 ザスキアの話し方に、その後の展開を察知したレオンはレオナを促し、二人は厨房に入って行った。

「...気を回してくれて、レオンは助かるわ」
 ザスキアは話を続けた。
「もう察しがついていると思うけれど...フランツ先生、しばらくカーヤを私に貸してもらえないかしら?」

 ザスキアが、彼とカーヤとの関係を知っている上での発言であることをフランツは理解したが、まずはこう答えた。
「...それは、カーヤにとっては本心では無いと思うけどね?」

「...フランツ先生、だから、これから私が口説くのよ...カーヤを。いいでしょ?」
 そう言いながらザスキアは左手の指先をフランツの右手の甲に這わせてきた。

「...ザスキア。君は、両刀使いなのか?」

 フランツの問いにカーヤは、
「ふふっ。そうよ。カーヤにもその素質はあるけどね?」
 と答えた。

 カーヤの言葉には嘘は無いように思ったフランツは言った。
「...まぁ、君の好きにしてくれればいいよ。どうせ逆らえないのだろう?その先の展開がどうなるかは知らないが」

「話が早い男《ひと》って好きよ!じゃあ、また後ほど...」
 ザスキアはそう言うと、メインディッシュの途中で席を立ち、カーヤを伴って食堂を出て行った。

「...私も恋人を取られたな」
 ブルクハルトがワイングラスを掲げながら言った言葉にフランツはまたも驚かされた。

...to be continued.




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