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青い炎と人形の物語 第6章 視察の朝の回想 その2 [球体関節人形製作]

 こんにちは、てぃねこです。
 いろいろあって、すっかり更新が遅れてしまいました。
 すみません。
 では、遅れながらの更新です。どうぞ、お読み下さい!

青い炎と人形の物語 第6章 視察の朝の回想 その2

 フランツは、自分の発言内容からハッと気が付いた。

「、、、もしや!、クーデターを起こす?!」フランツは、また少々青ざめて言った。

「ふふふ、そうよ。フランツ、これを知ったからには、もう後戻りはできないわよ」リーゼは少々脅し気味に言い、更に続けた。
「さっき、帝国軍が駐留する条件があると言ったけど、帝国軍の中には、私たちの仲間が何人もいて、重要なポストを占めているわ」

「、、、ということは、ブルクハルト王子の命令で、、、!」とフランツ。

「そう、いくつもの中隊が動きだすのよ!、、、ただし、いざクーデターが勃発したら、部下の中には命令に従わない可能性のある根っからのファシーズ党の党員が何人もいるわ。、、、そう言った人は強制的に従わせるか、または排除すために魔女の力が必要になるのよ」リーゼの話は、いよいよ核心に近づいていった。

「魔女が持つ[集団幻覚の魔法]を使うのだけれど、何万人もの人間を相手にする場合には、相当な魔力が必要なので、何十人もの魔女が協力して、この術をかける必要があるわ。それでもうまくできるかどうか、、、でも、、、恐らく、私の見立てでは、これを一人だけでできる能力のある魔女が一人いるわ!」リーゼの言葉は熱を帯びてきた。

「...なるほど!、、、それが、娘のマリーなんだな」フランツは絞り出すように言った。

「その通り! あの娘《こ》は、もう間もなく初潮を迎え、もし[血の洗礼]を乗り越えられれば、そのあとは、真の強大な魔力が発現するでしょう。私が足元にも及ばないくらいのね」リーゼはやや妬《ねた》むように言った。

「、、、なんてこった!、、、いや!待て!マリーをそんな戦いに巻き込むわけにはいかないぞ!」フランツは椅子から立ち上がって小さく叫んだ。
「...まぁ、フランツ、お座りなさい。この後の私の話を聞いて?」リーゼは余裕をもって、フランツに話しかけた。

 フランツが青い顔して、また椅子に座り込むのを待って、リーゼは続けた。

「...フランツ、あなたも後戻りできないけど、実は私も後戻りできない状況なのよ」

「...えっ?!それは、どういうこと、、、」とフランツ。

「当初、マリーを引き込み、真の魔力が十分に使えるようになるまで1年はかかるので、それまでクーデターの発動は待つ計画だった。でも、ブルクハルト王子と超強硬派の動きが思いのほか早く、今では、私に情報は入るものの、クーデターの主導権はブルクハルト王子と超強硬派の一派に移ってしまい、私はオブザーバのような形になってしまったのよ!」
リーゼはそこで、少しくやしそうに顔をゆがめた。

「しかし!マリーのような魔法の能力者がいないのであれば、難しいのでは?」つフランツ。

「いえ、それがね、私も、完全につかんでいなかったのだけれど、双子の大変な魔法の能力者が現れたらしいの」とリーゼ。
「え?リーゼ義姉さんも知らなかったことが?」とフランツ。

「そう、その双子はともに12歳で、魔女と鬼人のハーフの女親と、魔女と狼人のハーフの父親との間に生まれた双子だったのよ!それは超強硬派の鬼人グループの間でひた隠しにされていた!」とリーゼは言い、さらに続けた。
「私が聞いた情報では、その二人の能力を合わせれば、何万人もの人間に対して[集団幻覚の魔法]をかけることができるらしいの!」

「じゃあ、クーデターの発動は可能?」とフランツ。

「そう、近々発動されるでしょう。私には、もう、そこまでの情報は伝えられなくなったわ」リーゼはさも落胆したように言い、顔を伏せた。

(なんということを知ってしまったのか、、、俺ももう後戻りはできないな!)フランツは青ざめながらも、心で覚悟を決めた。

「、、、しかし!なぜ保守的なファシーズ党の帝国軍は、鬼人を軍隊の中に入れたのだろう?まさか気が付かなかったわけではあるまいに、、、」フランツは首をかしげた。

「...ええ、軍はちゃんと知っているわ。保守的なファシーズ党の帝国軍ではあるけれど、鬼人の持つ特殊な身体的能力は、軍の中でも高い評価を得ていて、ファシーズ党と帝国軍に忠誠を誓った鬼人は数十人以上採用されて、今では軍の重要なポストに就いている者が何人もいるわ」リーゼはそう答えると、さらに続けた。
「...ただし、さすがに狼人は、身体的な能力が特殊すぎて、ほとんど軍には入隊していないわ、、、狼への変身がいやがられるのでね」

「なるほど、、、それで、超強硬派は鬼人が中心となったのか、、、」フランツはそう返すと、決意を込めて言葉を続けた。
「私自身も、後戻りできないことは十分理解しました!、、、しかし、、、今回の話を聞いたからには、何とかしてクーデターを止めたいと思います!リーゼ義姉さん!自治区の設立が決まったんです!帝国軍の駐留も改善の方向に持っていけるはずです!何とか考えを変えてもらえませんか?!」

「...後、1年、あなたが、私を説得すれば、もしかしたら、そういう道もあったかもしれないわね」リーゼはそういってフランツを見つめた。
「、、、でも、今となっては、もうクーデターの主導権は私には無くなった。もう、わたしには、止める術はないわ」

「...もし、さっきの双子の魔法の能力者がいなければ?!」フランツは急に思いついたように言った。

「...そうね。マリーがクーデターに協力しなければ、、、マリーが双子の魔法の能力者の力を封じれば、クーデターの発動は難しくなるでしょうね」リーゼは言った。

「あぁ...マリー! お前を、この戦いに巻き込むしかないのか!」

フランツは両手で頭を抱え込んだ。

to be continued...
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