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青い炎と人形の物語 第5章 その3 [球体関節人形製作]

こんばんは、てぃねこ@ハニたろべねこです。

 マリーが月曜の朝、学校に行くと...そこで、新しい出会いが?!

 それでは、どうぞご覧ください。

第5章 マリーの覚悟 その3

 マリーの通うヴィルレーデ初等学校(エレメンタリ・スクール)は、
土日が休みの週5日制である。
 そして彼女は最上級の4年生、来年の8月に卒業である。

 マリーが学校に向かって雪道を下っていると、牧場から来る道と合流するY字路のところで、いつもの幼なじみの友達と遭遇した。

物語画像登校するゲルデCsmall.jpg

「おはよう!マリー!」赤毛の女の子は明るい表情で手を振ると、矢継ぎ早に続けて質問してきた。
「土曜日はアガーテさんが行けなくて大変だったんじゃない?」

(噂話、早い!)
 マリーはちょっとビックリした。

「おはよう!ゲルデ!」と努めて明るく答え、
「ううん、ピクルスの瓶詰めを開けて、後はベーコンエッグ作って、なんとかなったわ!」とうまくかわした。

「やっぱり、マリーは家事が上手ね!」ゲルデは羨ましそうに言い、続けた。
「マリーのパパは昨日帰ってきた?」

「うん。昨日の夕方にね。アガーテさんも来てくれて、グラーシュパスタ作ってくれて、美味しかった!」とマリー。

「あー、いいなー、おいしいもの食べて!うちなんか、玉ねぎのスープに、固いライ麦パンだったよー」ゲルデはまた羨ましそうに言った。

「...でね、ゲルデ」マリーは本題に入った。
「パパがまた金曜から2週間出張だし、家を空けることが多いから、いろいろ話し合って、遠縁のおばさんのところに引っ越すことになったの」

「えー!!マリー!転校しちゃうの?!」ゲルデはビックリした。

「ううん、転校はしないよ。」とマリー「でも、ちょっと遠い場所だから、ここまで、冬はソリで送ってもらえることになったの」

「へー、いいなー」とゲルデ。
 
「うん、おばさんの伝で、エルケさんという人が送り迎えしてくれることになった」とマリー。

「えー、じゃあ、マリーの家に遊びに行ったり、うちに来たりできなくなるね」ゲルデは少しガックリしたが、すぐに持ち直した。
「じゃあ!学校にいる間はたくさん遊ぼうね!」

「うん」とマリー。

「ねぇ、マリー、そのおばさんの家はどこにあるの?」とゲルデ。

「西の森のはずれのポツンと家が建っているところ」

「え?!もしかして、まじない師のラウラおばさんの家?!」ゲルデはやや驚いた。
「うん」とうなずくマリー

「じゃあ、マリーとラウラおばさんは親戚だったのね!...あ!じゃあ、マリーも占いとかできるの?」
次々と問いかけてくるゲルデに対して、
「ううん、遠縁なんで、私にその才能は無いみたい」とマリーはうまくかわした。

「あー、そうなんだー、残念!」ゲルデはさも残念そうに言った。

......

 二人はおしゃべりに夢中になりながらも学校にたどり着き、4年生の教室に入った。
 なにしろヴィルレーデ村は小さな村なので、1学年は1クラスずつしかない。しかも1クラス12名程である。

 教室に入るや否や、一人の男の子がマリーの目の前に立った。
 「マリー!土曜の夕方に、お前の家に行ったら、誰もいなかったし、玄関のドアも開け放しだったけど、どっか行ってたのかい?」男の子は少し勢いよく心配そうに尋ねてきた。

「え?!そうだったの?」ゲルデも驚いた。

 少し焦ったマリーは「...あー、あれはねー、雪が降ってきたんで、ちょっと玄関から出てみたら、たまたま、犬ぞりが通りかかったので、面白そうなので乗せてもらったの...」

 半分は本当である。

「それがエルケさん?」とすかさずゲルデ。

「...えーと、たまたま、エルケのお兄さんのダークさんで、、、森の方まで案内してもらって、、、ちょっと帰りが遅くなっちゃった」マリーはそう言うと肩をすくめた。

 また、半分は本当である。

「えー!それ危なくないの?マリー無用心だよ!」とゲルデ。

「ああ、お前、もうちょっと慎重になれよ!」男の子もうなずく。

「ごめん!、ごめん!、分かった、分かった」マリーは少々大袈裟なボディアクションでうまくごまかした。

「...ところで、エルケさんて誰?」と男の子。

「それはですねー、クラウス君、えへん!このゲルデが説明しましょう!」

 ゲルデは、さも以前から知っていたように流暢《りゅうちょう》に説明を開始した。

 ゲルデが自慢気にマリーの引っ越しを語り、その後、土曜日に自分が家業の牧場の手伝いで頑張ったことを伝えようとしたときに、担任のドーリス先生が教室に入ってきたので、生徒は皆、そそくさと自分の席に着いた。

 、と、ドーリス先生が廊下から一人の少女を手招いた。
「皆さん!紹介します。新しく転校してきたローラントさんです」

 入ってきた少女は、やや背が高く、長い銀髪でグリーンアイだった。

「ザーラ・ローラントです。仲良くしてくださいね」やや大人びた少女は教室の生徒一人一人に目をやって、最後にマリーをじっと見つめて微笑んだ。

(え?なぜ、私?)

 マリーは教室の一番後ろの席で、少々焦った。

...to be continued.



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