青い炎と人形の物語 第7章 血と魔法 その1 [球体関節人形製作]
てぃねこ@ハニたろべネコです。
人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。
「青い炎と人形の物語」の第7章です。
いよいよ、マリーに試練の時が訪れようとしています...では、物語をどうぞ。
第7章 血と魔法(その1)
森のはずれの少し木がまばらになった辺りに、その家はひっそりと建っていた。
深い焦げ茶色で、大きさは、、、まぁ一人が暮らすには十分であったが、今日からは二人が暮らすことになるので、いささか窮屈《きゅうくつ》な間取りと言えた。
そして、夕暮れの今、小さな煙突から香ばしく食欲をそそる匂いが立ち上り、冬の風にくるくると舞っていた。
家の中にはやや歳の行った女が一人、暖炉のかまどの前で鉄鍋の中の濃い茶色の豚角と玉葱のシチューを杓子で1、2回ほどかき混ぜた後に、人参の形に似た何やら怪しげな肌色の根っこを鍋の中に投入した。
「この紅心人参がいいダシを出してくれるのさ」
歳の行った女はそう言いながら、小さなテーブルの端にちょこんと座っている女の子の方を見た。
「あのー、ラウラおばさん...」
女の子は立ち上がりつつ言った。この娘の名はマリー、魔法に目覚めたばかりであったが、その潜在能力には計り知れないものがあった。
「何か、手伝うことはありますか?」
「マリー、お前にひとつ言っておくことがある」
ラウラは鍋から取り出した杓子を手に持ちつつ振り返ってマリーをじっと見た。
「こうして私の家で暮らして魔法を学ぶからには、私はお前の先生...いや師匠で、お前は弟子の立場となるのだよ...今からは私のことは師匠を呼びなさい」
「はい!わかりました。師匠」
マリーは素直に返事をした。
「うむ、素直でよろしい」
ラウラは機嫌よく答え、再び鍋の中のシチューを軽くかき混ぜた。
「それじゃ、まず、暖炉の中のジャガイモを火搔き棒で取り出して、このパンに入れておくれ」
「はい、師匠」
マリーはラウラの傍に近寄り、しゃがみ込んで火搔き棒を使い、暖炉の燃える火の近くにある4つの灰だらけのジャガイモをコロコロと転がしてパンの中に入れた。
そして数分後、二人は向かい合って椅子に座り、目の前テーブルには豚角と玉葱のシチューの入った深い皿と、浅い皿に入った灰を落としたジャガイモが2つ、そしてホットミルクの入った陶器のコップが乗っていた。
........
to be continued...
人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。
「青い炎と人形の物語」の第7章です。
いよいよ、マリーに試練の時が訪れようとしています...では、物語をどうぞ。
第7章 血と魔法(その1)
森のはずれの少し木がまばらになった辺りに、その家はひっそりと建っていた。
深い焦げ茶色で、大きさは、、、まぁ一人が暮らすには十分であったが、今日からは二人が暮らすことになるので、いささか窮屈《きゅうくつ》な間取りと言えた。
そして、夕暮れの今、小さな煙突から香ばしく食欲をそそる匂いが立ち上り、冬の風にくるくると舞っていた。
家の中にはやや歳の行った女が一人、暖炉のかまどの前で鉄鍋の中の濃い茶色の豚角と玉葱のシチューを杓子で1、2回ほどかき混ぜた後に、人参の形に似た何やら怪しげな肌色の根っこを鍋の中に投入した。
「この紅心人参がいいダシを出してくれるのさ」
歳の行った女はそう言いながら、小さなテーブルの端にちょこんと座っている女の子の方を見た。
「あのー、ラウラおばさん...」
女の子は立ち上がりつつ言った。この娘の名はマリー、魔法に目覚めたばかりであったが、その潜在能力には計り知れないものがあった。
「何か、手伝うことはありますか?」
「マリー、お前にひとつ言っておくことがある」
ラウラは鍋から取り出した杓子を手に持ちつつ振り返ってマリーをじっと見た。
「こうして私の家で暮らして魔法を学ぶからには、私はお前の先生...いや師匠で、お前は弟子の立場となるのだよ...今からは私のことは師匠を呼びなさい」
「はい!わかりました。師匠」
マリーは素直に返事をした。
「うむ、素直でよろしい」
ラウラは機嫌よく答え、再び鍋の中のシチューを軽くかき混ぜた。
「それじゃ、まず、暖炉の中のジャガイモを火搔き棒で取り出して、このパンに入れておくれ」
「はい、師匠」
マリーはラウラの傍に近寄り、しゃがみ込んで火搔き棒を使い、暖炉の燃える火の近くにある4つの灰だらけのジャガイモをコロコロと転がしてパンの中に入れた。
そして数分後、二人は向かい合って椅子に座り、目の前テーブルには豚角と玉葱のシチューの入った深い皿と、浅い皿に入った灰を落としたジャガイモが2つ、そしてホットミルクの入った陶器のコップが乗っていた。
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to be continued...