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青い炎と人形の物語 第3章その4 [球体関節人形製作]

てぃねこ@ハニたろべネコです。

人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。 

「青い炎と人形の物語」の第3章の続きです。
それでは、どうぞ。 

第3章  覚醒した魔法(その4) 

 「ビシッ!」ロープが激しく引っ張られる音とともにベッドの上のリーゼの顔は激しく歪んだ。

 (わたしの中に!入ってくるとはっ!)

頭の中でリーゼは激しくもがいて言った。
(ルイーゼ!!許さん!お前を引き裂いてやるっ!!)

 頭の中のルイーゼも負けてはいなかった。

 (リーゼお姉さま!暴れるのは勝手だけれど、それはお姉さま自身の肉体を傷つけるわよ!)
ルイーゼの精神はリーゼの頭の中でリーゼの精神と組み合った。
 (このまま、お姉さまが激高を続ければ!)ルイーゼは言い放った。(私もお姉さまも、揃って狂人になって、永遠にこの頭の中の囚人になるわ!!)

 (!!.....)

 リーゼとルイーゼの精神はリーゼの頭の中で、まるで肉体があるかのごとく組み合っていたが、やがてリーゼの力が抜け、合わせてルイーゼも力を抜いた。

(ルイーゼ!...)リーゼは妹から少し距離を置いて、落ち着きを取り戻しつつ言った。
(お前にこんな力があったとは!...油断したよ)
姉は自分の頭の隅に片ヒザを立てて座り込んだ。

(いいえ、お姉さま、私の力だけじゃないわ。)ルイーゼも距離を置き、姉に対面する位置に同じように座った。

物語画像ルイーゼC.png
(私の娘のマリーの力も合わさった結果よ)

 リーゼは驚きながらも、やや微笑みながら言った。
(そうか!...なるほど...私が期待した以上に、マリーの力が覚醒したのか!)そして続けた。
(大したものだね、ルイーゼ)姉は妹を見つめた。(人形の中に精神がある状態で娘を教育したのだね?)

(ええ、マリーが深く眠っている夢の中で、ほぼ毎晩ね。だから、あの子は今日まで、それに気が付かなかった)ルイーゼも姉を見つめ返した。

 それを聞いたリーゼは、やや首を傾けると(さて...ルイーゼ、あなたは、いつまで、ここにいるのかしら?)と、呟くように、しかし、少し迫力を込めて問いかけた。

(マリーは、まだ〈釣り上げの魔法〉を習得の途中だった...誰かがマリーを教育しないと、ずっと、ここに二人でいることになるわ!)ルイーゼは決定的な結論を姉に突き付けた。

(...なるほど、そういうことね...わかったわ。ルイーゼ、しばらく休戦しましょう。...でもね!、言っておくことがあるわ、ルイーゼ!、こうして私の体の中に二人でいる間は、私のプライベートな引出しは無闇に開けないでちょうだい!)リーゼは少々ドスのきいた声で意志を伝えた。

(わかっているわ、お姉さま、私はあくまでオブザーバーの立場で振る舞うわ)ルイーゼは落ち着いた話し方から、こちらも少々覚悟を持った声音に変わった。(でも、もしマリーを無理やり巻き込もうとするなら、こちらも手段を選ばないわ!)
 リーゼの身体中の神経と共存を始めたルイーゼの無意識の精神が、一瞬だけリーゼの身体を支配した。

(!!...なるほどねぇ、ルイーゼ)リーゼは少々驚きつつも予想通りという様に応え、続けた。
(...マリーの教育係としてラウラはどうかしら?)

 意外な提案にルイーゼも少々驚いたが、すぐに応じた。
(あぁ、あのラウラおばさんね。彼女は一貫して中立の立場だったわ、...引き受けてくれるかしら?)

(それは、私に任せて頂戴)リーゼは自分の頭の中の引出しを1つ開け、ラウラに関するその理由をルイーゼに見せた。

(...さすがに、お姉さまの伝は凄いわね...)ルイーゼは素直に感心した。

 リーゼの怒りの嵐の思考の間は、それを見守るダークもやや緊張したが、その後、リーゼが目を閉じ、何事か考えている(?)様子だったので、ダークも少しホッとしていた。

 やがて、リーゼの目が開き、ダークに明確な思考が伝わってきた。
(ダーク、リーゼよ。しばらくはルイーゼと共存するけれど、命令は私からのものよ)

 ダークは、その思考のフィールドの特徴から直ぐにリーゼのものであると理解した。
「わかりました。リーゼ様」彼はそう答え、その後のリーゼの命令から、彼女の拘束を全て解き、ベッドから彼女を起こし、窓際の書斎机の灯りを点し、便箋とペンを用意した。
 リーゼは机の前に座ると、ホッと一息つきながら言った。
「ダーク、お茶をお願い」
「はい、リーゼ様」ダークはしなやかな身のこなしで部屋の外に出て行った。

 しばらくして、ダークは主人の部屋にお茶を持って戻ってくると、ポットのハーブティーを大きめのカップに注ぎ、リーゼに手渡した。
 リーゼは香りを楽しみつつ一口飲むと、ダークに手紙を渡して言った。
「エルケが戻ったら、これをラウラのところに持って行って頂戴。手紙には、私とルイーゼとのこと、ラウラにマリーの魔法の先生を依頼したいことが書いてあるわ...さて、私は疲れたので休みます」

「かしこまりました、リーゼ様」ダークは軽く微笑みつつ思った。(...とりあえず、革命の計画は、このまま続行できそうだな)、そして狼人は主人の部屋を後にした。

........ 
to be  continued...   

p.s. 次回からの第4章は、場面が変わり、新しい展開です。
 お楽しみに。

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