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青い炎と人形の物語 第8章 戦慄の魔法兄妹 その9 [球体関節人形製作]

第8章 戦慄の魔法兄妹 その9


「ブルクハルト王子...それは、もしやザスキアのことですか?」
 フランツは少々驚いて尋ねた。

「...ええ。その通りですよ。フランツさん。私とザスキアとは、軍の中では上司と部下ですが、
それ以外では恋人関係とも言えますが...」
 そこでブルクハルトは言い淀んだが続けて、
「何しろ、彼女は自由人で、こういった浮気は結構あってね...まあ、私も、似たようなところは
ありますが...もう、慣れましたよ」
 と、そこまで言うと指を鳴らした。

 すると、また給仕の二人の女性が現れ、ブルクハルトとフランツがほぼ食べ終えたメインディッシュの皿を下げると、続けて食後のウィンナコーヒーを運んで来た。
 そして、二人の前にコーヒーのカップを置くと、厨房に戻らずに、そのまま二人の椅子の横に
一人ずつ立ったのであった。
 
 ブルクハルトが、コーヒーを一口だけ飲んで立ち上がると、彼の横に立っていた25、6才の給仕の鬼人族の女性が彼の左腕に手を回した。
「それでは、レオンとレオナのショータイムまで、お互い休憩しましょう...それでは、また後程」

 ブルクハルトと、その女性は腕を組んだまま、2階の部屋へと去っていった。

 思わぬことの成り行きに呆気に取られたフランツは、椅子に座りながら左隣に立つ女性を見上げると、25、6才の銀色の髪の給仕の女性が口を開いた。

「ヴァネサと言います。フランツ先生、部屋までエスコートをお願いします」

 フランツは、びっくりして、どうしたものかと迷っていると、ヴァネサは少しの悲しさと苛立ちを表した顔で言葉を繋げた。
「私に恥をかかせるつもりなのですか?」

 彼女のその言葉にフランツは覚悟を決めて返答した。
「分かりました。行きましょう」

 フランツはヴァネサに左腕を組ませて、ブルクハルト達が向かった2階の部屋へと歩を
進めて行った。

...to be continued.


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