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青い炎と人形の物語その3 [球体関節人形製作]

てぃねこ@ハニたろべネコです。
人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。
今年もよろしくお願いします。

早速、「青い炎と人形の物語」の続きです。
では、どうぞ。

第1章 冬のある日(その3)

きつく抱き上げられたことと恐怖で、マリーは身動きひとつできなかった。
(?!...何者なの?!)
二足で走るオオカミは、森の中に入ったが、すぐに外に抜け出し、小さな広場らしきところに着いた。
そこには、なんと四頭立てのソリが停まっていた。いや、四頭立てと言っても、いやに背の低い...馬ではなく...
(狼!!)
マリーを抱いた二足オオカミは宙を舞うようにソリに乗り込むなり叫んだ。
「出してくれ!兄弟!」
ソリは風のように走り出し、ボタン雪がつぶてのように当たってきた。
見上げたオオカミの顔は、人間の男と狼の混ざったような顔となっていた。
(これは...狼男?...なの?)
マリーの頭の中を、昔見た絵本の中の狼男が駆け巡った。
そして、狼男は吠えるように笑った。
「ハハハ、急げよ、兄弟!」
(...どこへ?...)
マリーは意識が遠退いていくのを感じた。

........

「人ではない...!」
人形のスージーは、頭をフル回転させた。
「人間の男に化けた獣のようだわ、たぶん....」
彼女は匂いの感覚が少しにぶかった。
「大変だ!スージー!マリーがさらわれた!」
黒猫のサミーは2階に飛ぶように上がってくると
いきなり思考をぶつけてきた。
「サミー!あいつは何者だったの?!」
スージーも思考をぶつけ返した。
実は二人?は以前から思考によって会話していたが、
それほどおしゃべりをする訳でもなかった。
「おいらの苦手なイヌ...ぶるぶる!...いや、あれは
オオカミだった!...ぶるぶる!」
サミーは身震いしながら答えた。
「そうか!なるほど!あいつは伝説の狼男ね!」
スージーは素早く推理を巡らせた。
「どうしようか?どうしようか?オオカミじゃ、もっと苦手だよ」
黒猫はウロウロするばかりだった。
「落ち着きなさい!サミー」
スージーは冷静だった。
「外でカラスの鳴き声が聞こえる。頼んでみる!」
彼女は思考を飛ばす能力があった。
(カラスさん、カラスさん、頼みがあるの!)

物語画像人形スージーC.jpg
........
「ん?誰だ?誰だ!俺に話しかけてくるのは?」
空を飛んでいる最中のカラスは狼狽した。
(私は、あなたの下に見える白い家にいる人形よ)
スージーはすかさず応答する。
「人形だって?!初めてだな、人形に話しかけられたのは!」
カラスは家の上をくるくると旋回した。
(金髪の女の子を連れた狼男を見なかった?)
スージーはストレートに尋ねる。
「そういや、さっき、ソリに乗ったそれらしき一行が
西の森に向かって行ったのを見たぜ」
カラスはぶっきらぼうに答えて、見た映像の思考を送って
きた。
確かに、映像のソリには、マリーと彼女を抱いて捕らえている
狼男のような者が乗っていた。
「じゃあな、俺はきょうの夕飯を探しに行かないと」
カラスはスージーの居る家から離れていった。
(あ!待ってカラスさん!どうにか追いかけられないかしら?)
スージーは食い下がった。
「おいおい、俺の夕飯でもごちそうしてくれるなら
考えてもいいが、あんたには無理だろ?」
そう言ってカラスはフンと鼻を鳴らした。
「うちの猫のサミーが用意できるわ」
スージーはすかさず答えた。
「わかった。その言葉を忘れるなよ!追いかけてみる」
カラスはそう言い残して西の森に向かって飛んで行った。
........
「なあ、スージー、カラスはなんて言ってたんだい?」
サミーはスージーの置かれているテーブルの上に飛び乗って
人形に鼻を押し付けた。
「今、追って行ってもらっているわ。サミーはカラスさんの
夕飯を用意しておいてね」
「あー、交換条件てやつか、わかった、何とかするよ」
スージーの返答にサミーはぶつくさとつぶやいた。

........

そのころ、近くの家のお手伝いのアガーテと、その旦那は、
何者かの手によって、家の中で、深く眠り込まされていた。

........

to be continued...
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