青い炎と人形の物語 第2章その1 [球体関節人形製作]
てぃねこ@ハニたろべネコです。
人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。
「青い炎と人形の物語」の第2章です。
それでは、どうぞ。
第2章 夜の森で(その1)
森のはずれの少し木がまばらになった辺りに、その家は
ひっそりと建っていた。
深い焦げ茶色で、大きさは、、、まぁ一人が暮らすには
十分で、今は小さい煙突から何やら怪しげな紫色の煙が立ち上っていた。
家の中にはやや歳の行った女が一人、暖炉のかまどの前で
鉄鍋の中の怪しい赤いスープに、さらに怪しげな真っ黒な根っ子を投入していた。
暖炉の左手の小窓の外は植木鉢台になっていたが、その上に
いきなりカラスが舞い降りて、小窓をトントンとつついた。
「おや、お帰り」女は窓を内側に開いた。
(首尾通り、やってきたぜ)カラスは家の中に飛び込むなり思考を送ってきた。
「最終的に、犬が人形を咥え、猫を背負って、西の森の館に向かって行った」
カラスは四角い古い木のテーブルの上に飛び乗った。
「こら!テーブルの上の薬品をこぼすんじゃないよ!」
女は慌てて叱った。
(おーっと、失敬、大丈夫、大丈夫)カラスは応じた。
「もう日も暮れてきたようだね」女は呟くように言った。
「なぁ、ラウラ婆さん」カラスは話し掛けた。
「おだまり!ザシャ!お姉さんとお呼び!」女はするどく言った。
「あー、すまねぇ。もとい、ラウラ姉さん」カラスは言い直した。「俺は人形と話をしたのは初めてなんだが、ありゃ一体何なんだい?」
「私は、直接あの人形と話したことはないが、動物伝えで聞くところによると、どうもマリーの母親が亡くなった頃から会話ができるようになったようだ。もっともマリーは知らないようだがね」ラウラは杖を片手に暖炉の前の丸椅子に座りながら答えた。
「へー、そりゃ、魔法の一種かね?」カラスは口をはさむ。
「そうだね。恐らく」ラウラは続けた。
「私がにらんだところ」そう言うと彼女は一旦言葉を切って続けた。
「マリーの母親のルイーゼ本人ではないかと思うよ」
「ほー、確か母親は死んだと聞いていたが?」カラスは首をやや傾けた。
「確かに死んで彼女の肉体は滅んだ」そう言ったラウラの目はするどく光った。
「しかし彼女の最後の魔力によって、彼女の精神、いや魂そのものを人形に移したのだろう」
「ほー、ほー、そりゃ凄い。それが本当なら、ある意味、不老不死とも言えるんじゃないのかい?」カラスのザシャは目を丸くして翼を動かした。
「薬品をこぼすんじゃないよ!」ラウラの叱咤が飛ぶ。
「わかってる、わかってるって」ザシャは答える。
「...さて、中道の私としては、これからどうすべきか?」ラウラはそうつぶやくと、杖を突き立ち上り、ザシャの入ってきた小窓の前に佇み、夕闇の迫る雪景色を眺めた。
........
セントバーナード犬のベルガーは、大木が4、5本からまった前辺りの地面の匂いを嗅いでいたが、すぐに踵を返し、雑木林の陰になっているところに戻ってきた。
(マリーの匂いはあの大木の前で途切れているが...?)犬は思考の声を送ってきた。
(おいらにも、大木にしか見えないけどな~。もしかして木の上にいるのかな?)猫のサミーはブツブツと呟いた。
「強い魔力だわ」人形のスージーは力強く言った。「普通の人間や、あなたたち普通の動物には大木のように見えているけれど、本当は大きな館が、あそこにあるわ」
(へー、そうなんだ。さすがはスージー。元魔女だけのことはあるね)サミーは感心した。
(なるほど、、、そういうことだったか)ベルガーは呟いた。
「ベルガー、サミー、私の能力を拡大して、あなたたちにも一時的に館が見えるようにするわ」スージーはそう言うと、強い思念のベールを拡大した。
(なるほど、霧が晴れるようだ)とベルガー。
(おやおや、本当だ。こりゃー驚いた)とはサミー。
「あなたたちが館を見えるようにしていると同時に、私たちの姿は別物に見えるようにしているわ」スージーは続けた。
(え?というと、何に?)サミーはビックリした。
「ベルガーは猪、サミー、あなたはリス、私は胡桃」
「へー、すごいなー」サミーは感心した。
その言葉の後、スージーは意を決して言った。
「二人にお願いします」
ベルガーとサミーは木の根元に寄りかかっているスージーを見た。
「寒いけれど、ベルガーにはここで待機していて欲しいの」
(マリーを助けるためなら、何てことはないさ)ベルガーは即答した。
「サミーは私を咥えて、あの屋根の上にある煙の出ていない煙突から私を中に落としてちょうだい」
(えーっ!暖炉に火がついたらどうするんだよ!?)サミーは驚いて叫ぶ。
「私は精神の一部を伸ばして、こっそりと煙突の中と、その先の部屋の中を探っているわ」スージーは答えた。
「その部屋の中にマリーがいるわ。後、もう一人若い女、いえ、たぶん狼人ね」
(そうか、無事だったか)ベルガーが呟いた。
(良かったー。でも、今、落としちゃまずいよね?)とサミー
「いえ、今すぐに落としてちょうだい」
(なんだって?!)(えええっー?!)ベルガーとサミーは驚愕して叫んだ。
........
to be continued...
人形作りと、オリジナルの物語の部屋です。
「青い炎と人形の物語」の第2章です。
それでは、どうぞ。
第2章 夜の森で(その1)
森のはずれの少し木がまばらになった辺りに、その家は
ひっそりと建っていた。
深い焦げ茶色で、大きさは、、、まぁ一人が暮らすには
十分で、今は小さい煙突から何やら怪しげな紫色の煙が立ち上っていた。
家の中にはやや歳の行った女が一人、暖炉のかまどの前で
鉄鍋の中の怪しい赤いスープに、さらに怪しげな真っ黒な根っ子を投入していた。
暖炉の左手の小窓の外は植木鉢台になっていたが、その上に
いきなりカラスが舞い降りて、小窓をトントンとつついた。
「おや、お帰り」女は窓を内側に開いた。
(首尾通り、やってきたぜ)カラスは家の中に飛び込むなり思考を送ってきた。
「最終的に、犬が人形を咥え、猫を背負って、西の森の館に向かって行った」
カラスは四角い古い木のテーブルの上に飛び乗った。
「こら!テーブルの上の薬品をこぼすんじゃないよ!」
女は慌てて叱った。
(おーっと、失敬、大丈夫、大丈夫)カラスは応じた。
「もう日も暮れてきたようだね」女は呟くように言った。
「なぁ、ラウラ婆さん」カラスは話し掛けた。
「おだまり!ザシャ!お姉さんとお呼び!」女はするどく言った。
「あー、すまねぇ。もとい、ラウラ姉さん」カラスは言い直した。「俺は人形と話をしたのは初めてなんだが、ありゃ一体何なんだい?」
「私は、直接あの人形と話したことはないが、動物伝えで聞くところによると、どうもマリーの母親が亡くなった頃から会話ができるようになったようだ。もっともマリーは知らないようだがね」ラウラは杖を片手に暖炉の前の丸椅子に座りながら答えた。
「へー、そりゃ、魔法の一種かね?」カラスは口をはさむ。
「そうだね。恐らく」ラウラは続けた。
「私がにらんだところ」そう言うと彼女は一旦言葉を切って続けた。
「マリーの母親のルイーゼ本人ではないかと思うよ」
「ほー、確か母親は死んだと聞いていたが?」カラスは首をやや傾けた。
「確かに死んで彼女の肉体は滅んだ」そう言ったラウラの目はするどく光った。
「しかし彼女の最後の魔力によって、彼女の精神、いや魂そのものを人形に移したのだろう」
「ほー、ほー、そりゃ凄い。それが本当なら、ある意味、不老不死とも言えるんじゃないのかい?」カラスのザシャは目を丸くして翼を動かした。
「薬品をこぼすんじゃないよ!」ラウラの叱咤が飛ぶ。
「わかってる、わかってるって」ザシャは答える。
「...さて、中道の私としては、これからどうすべきか?」ラウラはそうつぶやくと、杖を突き立ち上り、ザシャの入ってきた小窓の前に佇み、夕闇の迫る雪景色を眺めた。
........
セントバーナード犬のベルガーは、大木が4、5本からまった前辺りの地面の匂いを嗅いでいたが、すぐに踵を返し、雑木林の陰になっているところに戻ってきた。
(マリーの匂いはあの大木の前で途切れているが...?)犬は思考の声を送ってきた。
(おいらにも、大木にしか見えないけどな~。もしかして木の上にいるのかな?)猫のサミーはブツブツと呟いた。
「強い魔力だわ」人形のスージーは力強く言った。「普通の人間や、あなたたち普通の動物には大木のように見えているけれど、本当は大きな館が、あそこにあるわ」
(へー、そうなんだ。さすがはスージー。元魔女だけのことはあるね)サミーは感心した。
(なるほど、、、そういうことだったか)ベルガーは呟いた。
「ベルガー、サミー、私の能力を拡大して、あなたたちにも一時的に館が見えるようにするわ」スージーはそう言うと、強い思念のベールを拡大した。
(なるほど、霧が晴れるようだ)とベルガー。
(おやおや、本当だ。こりゃー驚いた)とはサミー。
「あなたたちが館を見えるようにしていると同時に、私たちの姿は別物に見えるようにしているわ」スージーは続けた。
(え?というと、何に?)サミーはビックリした。
「ベルガーは猪、サミー、あなたはリス、私は胡桃」
「へー、すごいなー」サミーは感心した。
その言葉の後、スージーは意を決して言った。
「二人にお願いします」
ベルガーとサミーは木の根元に寄りかかっているスージーを見た。
「寒いけれど、ベルガーにはここで待機していて欲しいの」
(マリーを助けるためなら、何てことはないさ)ベルガーは即答した。
「サミーは私を咥えて、あの屋根の上にある煙の出ていない煙突から私を中に落としてちょうだい」
(えーっ!暖炉に火がついたらどうするんだよ!?)サミーは驚いて叫ぶ。
「私は精神の一部を伸ばして、こっそりと煙突の中と、その先の部屋の中を探っているわ」スージーは答えた。
「その部屋の中にマリーがいるわ。後、もう一人若い女、いえ、たぶん狼人ね」
(そうか、無事だったか)ベルガーが呟いた。
(良かったー。でも、今、落としちゃまずいよね?)とサミー
「いえ、今すぐに落としてちょうだい」
(なんだって?!)(えええっー?!)ベルガーとサミーは驚愕して叫んだ。
........
to be continued...